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社  会


【 社 会 】

・ 国家と民主政治



[ 要 点 ]


◆国家の三要素とは、領土・国民・主権をいう。

◆夜警国家とは、市民生活の秩序を維持するために必要な最小限の治安維持と国防などを任務とする国家をいう。

◆法治主義とは、政治を行うにあたって、議会で定めた法律によらなければならないことをいい、法の支配とは、「人の支配」に対する政治原理であり、恣意による支配を排除し、治める者も治められる者も法に拘束されることをいう。

◆間接民主制とは、国民の選んだ代表者の組織する機関を通じて間接的に政治に参加する制度であり、代表民主制ともいう。




1、国家の三要素

国家が存在するための要素として、1、領域(領土)、2、国民、3、主権が必要である。1、領域(広義の意味での領土)は、さらに領土(狭義の意味での領土)、領海、領空に分けられる。2、国民とは、国家を構成する人間をいう。3、主権とは、他国の支配・干渉を受けずに独立していることをいう。


2、国家の起源

国家の起源を何に求めるかについては、以下の説がある。

1、神権説…国家は神の意志に基づいて成立し、国王の権力は神から預かったものとする説で、ボナール、フィルマー、ジェームズ1世が唱えた。

2、社会契約説…国家は成員の合意に基づくもので、権力は人民にあり、政府は人民の権利の受託者とする説で、ホッブズ、J・ロック、ルソーなどが唱えた。

3、国家征服説…有力な種族あるいは階級が、他を征服して形成するという説で、グロプロビッツ、オッペンハイマーが唱えた。

4、国家有機体説…国家を生命ある有機体とみなし、その成員たる個人は全体の機能を分担するという説で、ブルンチェリー、シュフレ、スペンサーが唱えた。

5、国家法人説…国家を法律関係の主体となりうる法人とみて、主権は君主にも人民にも属さず、国家自体にあるとする説で、ゲンバー、イェリネックが唱えた。

6、階級国家説…国家は一階級が他の階級を抑圧、支配するための機関とみる説で、マルクス、エンゲルス、レーニンが唱えた。

7、多元的国家論…国家は多様な社会集団の一つに過ぎず、諸集団の利害や機能を調整する役割をもつ点で相対的な優越性をもつとする説で、ラスキ、マッキバー、バーカーが唱えた。

8、一元的国家論…国家を他のあらゆる社会集団の上位に立つ最高の社会組織とみなす国家論で、プラトン、アリストテレス、ヘーゲルが唱えた。


3、近代国家の発展

(1) 警察国家

16世紀〜18世紀の絶対主義国家にあっては、権力は君主に集中し、強大な警察力で統治した。このような国家形態を警察国家という。

(2) 夜警国家

資本主義の発達時においては、自由放任主義のもと、国家の任務を国防・治安維持など最小限にとどめようとした。このような国家形態を夜警国家という。

(3) 福祉国家

20世紀以降の資本主義国家にあっては、現代資本主義の弊害を改善し、富の不均衡を是正し、国民の最低限の生活を国の責任によって保障し、国民福祉の向上が求められる。このような国家を福祉国家という。


4、民主政治の原理

近代民主政治の基本原理としては、1、基本的人権の保障、2、国民主権、3、法の支配、4、権力分立、5、代表民主制がある。

(1) 基本的人権の尊重

基本的人権の尊重とは、人間が生まれながらにして有する自由、平等の権利が最大限尊重されることをいう。

(2) 国民主権

国民主権とは、国の政治の在り方を最終的に決定する力(主権)が国民にあることをいう。

(3) 法の支配

「人の支配」に対する政治原理であり、恣意による支配を排除し、治める者も治められる者も法に拘束されることをいう。

(4) 権力分立

権力分立とは、権力を複数の機関に分散させ、お互いに牽制・均衡の関係を保たせることによって権力の濫用を防止するシステムである。権力分立に基づいて、立法権、行政権、司法権に分けたものが、三権分立の制度である。

(5) 代表民主制(間接民主制)

国民が選んだ代表者の組織する議会を通じて、間接的に国民の意思を国政に反映させる制度をいう。



・ 選挙制度


[ 要 点 ]

◆小選挙区比例代表制が導入される前の中選挙区制度は、小選挙区制に比べ、小政党でも立候補者当選の可能性が増す。

◆小選挙区制は、死票が多く出る可能性があり、国民の意思が正確に反映しない。

◆比例代表制は、政党の得た得票総数に比例した数の議員を選出する制度である。

◆大選挙区制は、1つの選挙区から2名以上の議員を選出する制度である。

◆中選挙区制は、大選挙区制の一種であり死票は少ないという長所はあるが、政党内に派閥が生じやすいという短所がある。

◆日本における婦人参政権は、1945年の選挙法改正により認められた。




1、日本の選挙制度

(1) 選挙権の拡大

1890年、初めて25才以上の男子による選挙が行われたが、納税額の制限があった。その後、1925年には25才以上の男子による普通選挙が行われた。

一方、女子の普通選挙権は、1945年の選挙法の改正で初めて認められた。

(2) 小選挙区制・大選挙区制と比例代表制

小選挙区制では、1選挙区から1人を選出するため、各政党間で候補者調整や選挙応援などの強力が行われ、政党の統合を促す。そのため、小選挙区は二大政党制と結びつきやすく、政局が安定するといわれている。

また、選挙区の範囲が比較的狭いので、有権者が投票する人を選びやすく、選挙費用が少なくてすむ。

しかし、政党や候補者が限定されて多様な民意を反映できない、有権者の数が比較的少ないため、候補者は地元への利益誘導型になりやすい、買収工作が容易に行われやすい、金がかかるという短所がある。

小選挙区の最大の欠点は死票が出るということである。

大選挙区制は、1選挙区から複数の代表者を選出するため、多様な民意をそのまま議席数に反映することができ、少数政党でも議席を持つことができるという長所がある。

しかし、この制度は小党分立になりやすく、政権が不安定になりやすい。また、選挙区が広いため選挙運動費がかかるという短所がある。大選挙区制の最も代表的な形態として比例代表制がある。

これは、有権者が自分の支持する政党に投票し、その得票率に応じて議席を比例配分する方式である。

(3) 衆議院の選挙制度

衆議院議員の選挙区は戦後、中選挙区が続いた。中選挙区制は、1つの都道府県が複数の選挙区に分けられ、それぞれの選挙区から3人から5人ずつ選出するという制度である。

農村部に比較的多く議席が配分されたため、農村部と都市部との間で1票の価値の不平等が生じた。そのため、定数是正が求められ、1994年に選挙制度が改正された。

(4) 参議院の選挙制度

参議院議員選挙区は、定数100人と全国区と各都道府県単位で選挙が行われる定数150人(のち152人)の地方区とに分かれて実施されてきた。

しかし、1983年から拘束名簿式比例代表制が導入され、定数100人の比例代表区と、定数152人の選挙区になった。

比例代表区は、各政党の得票率に応じて議席を比例配分するものであり、ドント方式といわれている。

各党は事前に順番をつけた名簿を提出し、その政党の獲得当選者数だけ、名簿の上位から順に当選者が決まる。

2000年10月には、公職選挙法の改正により、「非拘束名簿式」が導入され、2001年7月の選挙から採用された。

「非拘束名簿式」では名簿の順番をつけず、有権者は名簿の中から候補者個人に投票することも、政党に投票することもできる。

(5) 議員定数不均衡問題

議員一人当たりの有権者数が選挙区によって大きな格差を生じている問題である。憲法14条の「法の下の平等」に反するとして、提訴されたが、最高裁は、格差約5対1になっていた1972年の衆議院、及び格差4対1になっていた1983年の衆議院について、それぞれ議員定数配分規定を違憲とした(1976年)。

しかし、1983年の選挙における4対1の格差は違憲だが選挙自体は有効とした。その後、定数は衆・参ともに改正され、1994年の選挙制度改正時には、小選挙区制の区割りに関して格差2倍以内と定められた。


2、小選挙区比例代表制の導入

1994年、公職選挙法改正により、衆議院議員選挙へ小選挙区比例代表並立制が導入された。その内容は、

1、定数512人の中選挙区制を廃止し、小選挙区比例代表制とする。定数は小選挙区300人と比例代表200人の合計500人とする。
2、1人2票制とし、小選挙区で個人名を、比例代表で政党名を記入投票する。
3、比例代表は、全国を11のブロックにわけ、ブロックごとに当選者を各政党に分配する。
4、小選挙区と比例代表の両方に立候補することができ、小選挙区で落選しても比例代表で当選することができる。

なお、2000年2月には、公職選挙法の改正により、衆議院議員の比例代表の定数が20名削減された。



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