■ 親族・相続
「親族法」ですが、家族の最小ユニットは夫と妻と子であり、
この最小ユニットを取り囲む血のつながりのある人々の集団についての規定(第1章)と、
婚姻という夫婦に関する規定(第2章)と、
親子関係についての基本的ルール(第3章)と、
親権という親が子を監護教育することについての規定(第4章)と、
制限能力者に関する規定(第5章・後見、第5章の2・補佐及び補助)と、
扶養という家族間の経済的な助け合いについての規定(第6章)
からなっています。
これらの中心をなすのは、財産法の自由な取引の世界から排除された人々を、私的に保護する制度です。
ただし、親族法の中でも、「夫婦の財産関係」は、理念的に見れば対等な個人の関係であるので、私的保護法というよりも、財産法の一種と位置付けられるでしょう。
「相続」は、契約と並んで、代表的な所有権の取得原因の1つです。
法律上の地位を包括的に承継する点において、通常の契約とは異なりますが、包括承継そのものは、会社の合併にもみられることで、別に相続に特有のものではありません。
考え方としては、相続による財産取得は、贈与契約などと境界を接しており、財産法の基本原則が妥当することを考えます。
ただし、遺産を共同相続人間で分ける「遺産分割」の場面は、財産法の共有物の分割と比べると、相続に特有の考慮が要請される側面があるので、その
ような「比較の視点」を意識して下さい。
遺言の方式については、行政書士の業務と密接に関連することから、その手続についての正確な知識が問われます。
特に、公正証書遺言、秘密証書遺言については、具体的な手順についても覚えておくべきでしょう。
[ 要 点 ]
◆養子縁組においても、養親と、養子の血族との間には、血族間におけると同一の親族関係は生じない。
◆民法に規定する親族は、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族である。
● 親族
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親 族
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血族(6親等内)
父母、祖父母、兄弟姉妹、おじ・おば、おい・めい、いとこ など
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配偶者
血族でも姻族でもない
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姻族(3親等内)
配偶者の血族(自己の妻の兄)や血族の配偶者(自己の兄の妻) など
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1、親族総則
血縁関係のある者同士を、親類だとか親戚などということがあるが、この範囲は、無限に広がっていくものであるので、親族や相続に関する各種の規定を定めるには不都合が生じる。
そこで、民法はこの範囲を「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」をもって親族とする(民法725条)と定めた。
では、この「親等」、「血族」、「姻族」、「配偶者」は、どのようにみればいいのか以下で説明していく。
(1) 親類の分類
血のつながっている関係(血縁関係)にあるものを「血族」という。この血族はさらに「自然血族」と「法定血族」に分類される。
自然血族とは、親子、兄弟姉妹、祖父母と孫などのように出生することによって血縁関係を生じたものである。
法定血族とは、養子と養親及びその血族のように養子縁組によって血縁関係を生じたものである。この場合、養子縁組した日から、養子と養親の血族間には、血縁間におけるのと同一の親族関係となる。(民法727条)
また、婚姻によって配偶者の一方と他の血族との間に親族関係が生じるこのことを「姻族」という。夫から見た妻の父母・祖父母などのことである。
その他の分類としては、「直系」と「傍系」という分類がある。
直系とは、親と子の関係のように、血のつながりが直下する形になっていることをいう。傍系とは、兄と妹の関係は同一の始祖である母から、分かれてつながっていく関係なので、このようにいう。
なお、姻族関係は、離婚によって終了する。(民法728条1項)
そらに、「尊属」と「卑属」という分類もあり、尊属とは、ある者の父母ゆ祖父母のように、対象となる者よりも前の世代に属する者をいう。逆に卑属とは、ある者の子や孫のように、対象となる者よりも後の世代に属する者をいう。
「配偶者」とは、婚姻をしたことによって夫婦となった者同士のことをいい、夫・妻の両方とも配偶者という。配偶者は、血族でも姻族でもなく、以下で説明する親等というものでもない。
(2) 親等
親族関係が近いか遠いのかの尺度のことを「親等」という。親等の計算方法は、直系血族と傍系血族では異なる。
直系血族の間では、その間の世代数がそのまま親等になる。父・母と子は1親等であり、祖父母と孫は2親等である。
傍系血族の間では、その者又はその配偶者から同一の始祖に遡ってそこから他の者に下るまでの世代数を合算して親族とする。(民法726条2項)
例えば、その者の兄は、その者の父母にいったん遡り、そこから下っていくので2親等となる。また、その者と婚姻関係にある配偶者の父は、その配偶者から遡るので、その者とは1親等となる。
※分かりづらければ、「図」に書いて眺めてみることをおすすめします。
婚 姻
[ 要 点 ]
◆婚姻をしている者が、他の者と内縁関係を結ぶとしても、重婚となるわけではない。
◆女性は、前婚の解消の日から必ず6ヶ月を経過しなければ再婚できないわけではない。
◆養子と養親は、離縁により親族関係が終了した後でも、婚姻することはできない。
◆成年被後見人が婚姻する場合には、その成年後見人の同意を要しない。
◆婚姻は、戸籍法の定めるところにより、これを届け出て効力を生じるのであって、戸籍簿に記載されて初めて効力を生じるのではない。
◆婚姻の取消は、一般の取消とは異なり、必ず裁判所に請求しければならない。
◆婚姻の取消の効果は、取消の時から将来に向かってのみ生ずる。
◆夫婦の一方が第三者に対して日常の家事に関して債務を負った場合、他の一方は連帯の責任を負わないことを第三者に予告した場合には、連帯して責任を負わなくともよい。
1、婚姻の要件
わが国では、婚姻は、「実質的要件」と「形成的要件」の2つの要件を満たさないとその婚姻が無効となったり、取り消されたりすることとなる。
(1) 実質的要件
この要件は、本当に婚姻をするという意思があるのか、そして、それは法的に保護すべきものなのかとうかという観点から民法に定められている。
(2) 形式的要件
戸籍法の定めるところに従って届出をする必要がある(民法739条1項)
この届出には、当事者双方及び成年の証人2人以上から、口頭か署名した書面でなされなければならない。(民法739条2項)
婚姻は、届出が受理された時点で成立し、戸籍簿に記載されることは要件ではない(大判昭和16年7月29日)
(3) 成年被後見人の婚姻
成年被後見人も成年後見人の同意なく婚姻できる(民法738条)
3、婚姻の無効と取消
(1) 婚姻の無効
婚姻届けが受理されたとしても、実際には婚姻の効力が認められない場合がある。これを婚姻の無効という。民法はこの無効となる要件を婚姻の意思又は婚姻の届出を欠くときとしている。(民法742条)
婚姻の意思を欠く場合とは、人違いその他の事由によって、当事者間に婚姻をする意思がないときをいう(民法742条1号)
婚姻の届出を欠く場合とは、婚姻届けを出さない場合には、その婚姻は不成立となることである。(民法742条2項)
(2) 婚姻の取消
原則として婚姻意思があり、それに基づいて婚姻届けが受理されれば、他の要件に問題が生じていても一応その婚姻は有効となる。だが、この要件に問題がある場合には、婚姻を取り消すことができる。(民法743条)
この要件とは、婚姻の実質的要件である、婚姻適齢、重婚、待婚期間内の再婚、近親婚である。(民法744条1項)
なお、父母の同意を得ない未成年者の婚姻は含まれないので注意すること。
さらに、詐欺・強迫による婚姻も取り消すことができる(民法747条)
取消の方法は、通常の取消とは異なり、裁判所に請求しなければならない。
取消権者は、詐欺・強迫の場合には当事者だけであり、(民法747条)、その他の場合には、原則として、当事者の他にその親族や検察官もなれる。(民法744条)
(3) 取消の効果
(民法748条)婚姻は将来に向かって効力を失うが、遡及しない(民法748条1項)。したがって、婚姻中に生まれた子は嫡出子のままである。
また、婚姻の当時その取消原因があることを知らなかった当事者は、婚姻によって得た財産を現に利益を受ける限度において返還しなければならない(民法748条2項)
婚姻の当時その取消原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た全財産を返還しなければならない。さらに、相手方が善意の場合は、損害賠償もしなければならない(民法748条3項)
3、婚姻の効果
(1) 身分上の効果
婚姻をすることにより、夫婦は婚姻の際定めるところにより、夫又は妻の氏を称し(民法750、751条)、同居し、互いに協力し、扶助しなければならない。(民法752条)
婚姻した未成年は成年に達したとみなされる(民法753条)、夫婦間で契約したとき、その契約は原則として婚姻中いつでも取り消すことができる(民法754条)の効果が認められる。
(2) 財産上の効果
婚姻をすることにより、資産、収入等一切の事情を考慮して婚姻から生じる費用を負担したり、(民法760条)、夫婦の一方が第三者に日常家事に関して債務を負った場合、他の一方も連帯して責任を負ったり(ただし、責任を負わないことを第三者に予告した場合は責任を負わない。民法761条)、夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産はその者の個人の財産とし、夫婦どちらの物が明らかでないときは、共有と推定される。(民法762条)というような財産上の効果が認められる。
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