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 不法行為

■ 不法行為制度とは。

不法行為制度は、違法な行為によって受けた損害を賠償させる制度のことです。
 
これは、不法行為者に対して制裁を加えるものではなく、損害を公平に補填することを目的とするものです。


・ 不法行為の成立要件

故意又は、過失によって他人の権利を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償しなければなりません。
 
よって、不法行為の成立要件として、

1,責任能力のある者が 2,故意又は、過失によって 3,他人の権利や利益を違法に侵害し 4,その行為によって(因果関係) 5,損害が発生した場合となっています。
 


1,責任能力とは、まず、不法行為者に自分が違法なことをしている(した)ことを認識できる能力がないと、責任を負わせることができません。

尚、責任能力の有無は個別に判断されますが、過去の判例においては、概ね11、12歳前後が判断の分かれ目となっています。
 


2,故意又は、過失によって、他人に損害を与えたことについて、行為者に故意又は、過失がないと成立しません。
 


3,他人の権利や利益を違法に侵害した事実があること。
 
当然と言えば当然ですが、ただ、それが違法でないものまで不法行為とされると困ることが多いからです。

例えば、狭い道路を塞いで通行を妨げている車があるときに、これを警察官がレッカー移動する行為は、その車の運転手の権利を侵害しているともいえますが、警察官にはその権限がありますので、違法とはなりませんね。
 


4,因果関係有無はどうかです。
 
因果関係なんて難しい言葉ですね。
 
簡単に言うと、「違法な行為が原因となって、その結果として、当該損害が発生した」という行為(因果関係)がないと、損害という結果に対して行為者の責任を追及することはできないということです。
 


5,損害が発生したかどうかです。
 
損害は財産に限らず、精神的損害も含まれます。この精神的損害に対する損害賠償を一般に「慰謝料」といいます。




[ 要 点 ]


◆未成年者が他人に損害を加えた場合、その行為の責任を弁識する能力がないときは、賠償責任を負わない。

◆未成年者の監督責任は、未成年者の不法行為につき責任を負う場合がある。

◆使用者は、原則として事業の執行につき被用者が他人に加えた損害を賠償しなければならない。

◆土地の工作物の設置、保存の瑕疵により損害が生じたときは、1次的に占有者が責任を負い、2次的に所有者が責任を負う。

◆胎児は、損害賠償請求権については、すでに生まれたものとみなされる。

◆共同不法行為については、各自連帯責任を負う。




1、一般的不法行為

不法行為とは、例えば、Aがわざと(故意により)Bの建物に放火した場合やAが不注意により(過失により)Bの建物を毀損した場合など、違法な行為によって他人に損害を与えた場合である。

この場合は、不法行為をしたAは、被害者であるBにその損害を賠償しなければならない。

不法行為が成立するためには、1、故意又は過失により、2、責任能力を有する者が、3、違法な行為によって、4、他人に損害を与えたことが必要である。

1については、不可抗力(過失もないこと、つまり無過失のこと)により他人に損害を与えた場合は、原則として、損害賠償責任を負う必要はない。

2について、責任無能力者(精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者や幼児など)が不法行為をしても、原則として、損害賠償責任を負わない。(民法713条)


2、責任無能力者の監督者の責任

責任無能力者が他人に損害を与えた場合には、その監督義務者(未成年者の親権者など)は、義務を怠らなかったことを証明した場合を除き、損害賠償責任を負わなければならない(民法714条1項)。


3、使用者責任

使用者は、被用者が、その事業の執行につき不法行為をした場合には、損害賠償責任を負わなければならない。ただし、使用者が、被用者の選任・監督について相当な注意をしたことを証明したときは、責任を負う必要はない(民法715条1項)。

これが使用者責任である。使用者が、被用者の使用によって利益を得ている以上、それに伴って生ずる損失も負担するのが公平であるという考え方に基づく。

被害者は、被用者に損害賠償を請求することも、使用者に対して損害賠償を請求することもできる。

なお、使用者が被害者に損害賠償をしたときは、被用者に求償することができる。(民法715条3項)


4、工作物責任

例えば、建物の屋根が崩れて通行人が怪我をした場合は、その工作物の占有者又は使用者が賠償しなければならない。(民法717条)

これを工作物責任という。被害者は、当該建物の占有者がいる場合には、その占有者に対して損害賠償を請求することができるが、占有者がいない場合や占有者が必要な注意をしたことを証明したときは、建物の所有者に対して損害賠償を請求することとなる。

なお、この場合の所有者の責任は、無過失責任であり、所有者は、自分に過失がない場合でも、損害賠償責任を負わなければならない。


5、共同不法行為

例えばAとBが共同して、Cに暴行を加えて怪我をさせた場合のように、数人が共同の不法行為によって他人に損害を与えた場合の問題である。

数人の者が共同の不法行為によって、他人に損害を与えた場合には、その全員が各自連帯して、全額の損害賠償責任を負わなければならない。


6、不法行為による損害賠償請求権

1、不法行為による損害賠償請求権については、胎児は、生まれたものとみなされる(民法721条)。そのため母親が胎児のために和解に応じても、生まれた子を拘束しないとされる。

2、不法行為による損害賠償請求権を受働債権として相殺することはできない。

3、不法行為による損害賠償請求権は、不法行為の時から当然に履行遅滞となる。

4、不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った日から3年、又は不法行為の時から20年を経過した時は時効により消滅する。





 不法行為の結果

不法行為の成立と同時に、被害者は加害者に対して損害賠償請求権を取得します。

・ 損害賠償は金銭によってなされ(金銭賠償の原則)、期限の定めのない債権となります。

 被害者はいつでも請求ができるということです。


・ 損害賠償支払義務は、被害者の催告がなくても、損害発生時に直ちに遅滞となります。

・ 不法行為の加害者は、被害者に対して債権を有していたとしても、損害賠償債務を受働債権として相殺することはできません。

 なぜなら、これがもし許されることになれば、被害者が加害者に対して新たな不法行為を加えて、わざと損害賠償債務を負担して、それによって自分の損害賠償請求債権と相殺する可能性があるからです。

但し、被害者の方から、不法行為債権を自働債権として、加害者の被害者に対する通常の債権を受働債権として相殺することは可能です。

・ 不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者又は、その法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年又は、不法行為のときから20年で消滅時効にかかります。

※また数字が出てきました。

「損害及び加害者を知ったときから3年」、「不法行為のときから20年」、数字は試験対策として必ずその条文と共に覚えましょう。



★不法行為の類型


 使用者責任

他人に使用されている者(被用者、従業員のことなど)が、その事業の執行に基づき不法行為によって第三者に損害を与えた場合には、使用者も損害を賠償する責任を負います。

例えば、営業マン(被用者)が営業車で外回りをしているときに、歩行者をはねてしまい負傷させた場合は、その営業マンの勤務する会社(使用者)も負傷した歩行者に対して損害賠償責任を負います。

ただし、使用者責任が認められるためには、被用者について不法行為が成立していなければなりません。

そして、被用者の不法行為が外形上業務執行と見られる限り、実際は業務執行中でなくても、使用者は使用者責任を負うことになります。

上記の事例における、営業マンが営業車を私用で運転していて事故を起こした場合でも、その会社は責任を負うことになります。


しかし使用者は、被用者の選任・監督について相当の注意をしていたこと、又は、相当の注意をしても損害を避けることができなかったことを立証すれば、免責されます。

又、被用者の不法行為について使用者が第三者に損害賠償をしたときは、被用者に対してその一部を「求償」することができます。
 
※「求償」「求償」「求償」「求償」、覚えましょう。


尚、使用者が被用者の不法行為について責任を負う場合、被害者は使用者・被用者いずれに対しても損害賠償を請求することができます。
 
使用者・被用者はまるで連帯債務者であるように見えますが、仮に、被用者の債務が免除されたからといっても、使用者も免除される(絶対効がある)関係にはないとされています。
 
よって連帯債務ではないことになります。
 
ここも重要な点です。
 
 


■ 注文者責任

請負契約における注文者は、請負人がその仕事について第三者に損害を与えても原則として損害賠償責任はありません。
 
しかし、注文者が請負人に対して注文又は、指図に過失があったことにより、他人に損害を与えたときには、責任を負うものとされています。
 
 
 
・ 請負契約
 
請負契約とは、雇用の形のひとつで、請け負った側が事業主として仕事を進める契約のことです。
 
委託契約と違うのは、委託契約の目的が「特定の業務の処理」であるのに対し、請負契約は「仕事の完成」である点です。

 
 
・ 雇用契約と委託契約・請負契約の違い

労務を提供するときの契約には、いくつかの種類があります。
 
一般的に会社に就職するときは、「雇用契約」または「労働契約」です。
 
しかし、労務を提供するときの契約には「委託契約」「委任契約」「請負契約」等もあります。
 
これらは、それぞれ目的や労務の提供方法が違います。
 
私は会社員になるつもりだった、ところが知らないうちに「事業主」としての契約をしていた、等とならないように、契約の種類を良く確認してから契約を結ぶようにしましょう。
 
なお、契約した種類にかかわらず「契約の目的」「労務提供方法」などの実態で判断されることもあります。 
 
 

■ 土地工作物の所有者・占有者の責任

土地工作物の設置又は、保存に瑕疵があったことにより、他人に損害を与えたときは、その工作物の占有者は、被害者に対して損害賠償責任を負います。
 
但し、占有者が損害の発生を防止するために必要な注意を尽くしていたときは、占有者は責任を負わず、その工作物の所有者が無過失であっても責任を負うことになっています。(無過失責任)

例えば、建物の外壁がかなり劣化して傷んでいたところ、通行人がその建物のそばを通過しようとしました。その時、建物の2階部分の外壁が崩れ落ちて、それが通行人に接触して負傷した場合などは、

・ 建物の賃借人(占有者)が漠然と外壁の劣化を放置していた場合、賃借人(占有者)が責任を負います。

・ 賃借人(占有者)が自ら外壁補修を行った場合や、賃貸人(所有者)に修繕を依頼していた場合は、賃貸人(所有者)が責任を負います。
 
 
※ 瑕疵
 
「欠陥、キズ」とほぼ同じ意味で、法律または当事者が予想する正常な状態が欠けていることです。

また、一見しただけでは、分からない欠陥・キズを「隠れた瑕疵」といいます。
 
「隠れた瑕疵」があった場合、民法・宅建業法では、買主を保護する規定が定められています。
 
 
 
ちなみに、※ 瑕疵担保責任
 
売買契約の目的物(宅地または建物)に、契約の締結当時に既に欠陥・キズ(隠れた瑕疵)があった場合、売主が買主に対して負う責任のことです。

売主が買主に対して負う責任とは、瑕疵の修復をしたり、損害が発生した場合に損害金を支払うことです。

売主が責任を負う期間は、民法では、買主が瑕疵を知ってから1年以内としています。

宅建業法では、売主が不動産会社の場合は、引き渡しの日から2年以上とする特約を除き、民法より不利な特約は結べないことになっています。
 
こうしてみると、宅建業法と行政書士の試験範囲は結構リンクする箇所が多いですよ。
 
そういった意味では、自分の開業後の専門分野を絞ったり、逆に広げたりする意味でも、宅建受験も考えてみてはどうでしょうか?
 
今の時代、行政書士の資格だけで食べていこうなんて、到底無理な話しですからね。
 
現在ネットで騒がれている行政書士資格を持った人たちなど1割程度であって、その他の約9割の人はトホホなんですから。
 
その騒がれている1割の人たちも、トホホな人たちに「ノウハウ」や「教材」を売ることの方が、本業より儲かっているわけで、やっぱり世の中「人間力」の「差」というものは如実に現れます。
 
人間力? → もっと端的に言うと、「営業力」です。
 
このブログやメルマガを購読されている方々だけは、その辺の現実を分かっていてほしいと思います。
 


■ 共同不法行為

数人が共同して不法行為を行い、他人に損害を与えたときは、それぞれが連帯して、全損害について損害賠償責任を負います。

共同不法行為者のうち誰が加害者か判らない場合も、全員が責任を負います。

不法行為を唆した者・手助けをした者も、共同不法行為者とみなされます。

そして、共同不法行為の被害者は、それぞれの加害者に対して損害賠償請求ができます。
 
この場合、共同不法行為者の一人が免除された場合でも、その他の共同不法行為者も免除される(絶対効がある)関係にはないとされています。
 
覚えておきたい箇所です。


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