|
|
|
|
[ 要 点 ]
◆書面によらない贈与は、履行の終わらない限り、取り消すことができる。
◆贈与者は、瑕疵を知りながら告げなかった場合を除き、担保責任を負わない。
◆寄託契約において当事者が寄託物の返還時期を定めないときは、受奇者はいつでも寄託物を返還できる。
◆無償で寄託を受けた者は、自己の財産におけると同一の注意で足りる。
◆雇用において、報酬は後払いが原則である。
◆雇用において、期間の定めがない場合、使用者及び労働者は、いつでも解約の申し入れをすることができ、解約の申し入れがあったときは、2週間後に雇用契約は終了する。
1、贈与
(1) 贈与契約の意味
贈与契約とは、当事者の一方(贈与者)が自己の財産を無償で相手方に与える意思を示し、相手方がこれを受諾することにより成立する契約(諾成契約)である。つまり、ただで物をあげる契約である。
(2) 書面によらない贈与の取消
書面による贈与は、取り消すことはできないが、書面によらない贈与は、各当事者がこれを取り消すことができる。ただし、履行が終了した部分については、取り消すことはできない。
(3) 贈与者の担保責任
贈与者は、原則として贈与の目的物に瑕疵がある場合でも、担保責任を負わないが、贈与者が瑕疵をあることを知りながら受贈者に告げなかったときは、担保責任(損害賠償責任)を負う(民法551条1項)
2、寄託
(1) 寄託の意味
寄託とは、例えば、友人の旅行中骨董品を頼まれて預かる場合のように、受奇者が、寄託者のために目的物を保管する契約である。(民法657条)
民法上は原則として要物契約である。また、無償が原則(民法665条、648条1項)、特約で有償とすることもできる。
無償の場合は片無契約であり、有償の場合は、双務契約である。
(2) 受奇者の義務
無償寄託の受奇者は、「自己の財産におけると同一の注意義務」がある(民法659条)が、有償寄託の受奇者は、善管注意義務を負う。(民法400条)
(3) 寄託の終了
契約によって寄託物の返還時期を定めた場合でも、寄託者はいつでも寄託契約を解除(告知)して返還請求ずできる。(民法662条)
一方、受奇者は、返還時期の定めがなければ、いつでも返還できるが、返還時期の定めがあれば、やむを得ない事由がなければ期限前に返還することができない。(民法663条)
3、雇用
(1) 雇用の意味
雇用とは、当事者の一方が、相手方に対して労務に服する代わりに相手方が報酬を与える契約(諾成・有償・双務契約)である(民法623条)
雇用については、労働法にその詳細が規定されているが、ここでは民法上の雇用に関する規定にとどめる。
(2) 契約期間
民法上、雇用期間の最長期間は5年となっている(民法626条1項)。あまり長期の契約期間を認めると、事実上の強制労働になる危険があることに配慮したためである。
なお、労働基準法上は、原則として1年を越えることができないことになっている(労働基準法14条)。
(3) 労働者・使用者の義務
労働者は、労務に関する義務を負い、使用者は、報酬支払い義務を負う。また、使用者は、信義則上安全配慮義務を負う。
(4) 報酬の支払い時期
報酬は契約で定めた労務が終わった後でなければ請求できない(民法624条1項)。原則として、後払いである。
(5) 雇用の終了
期間の定めがない場合、使用者及び労働者はいつでも解約の申し入れをすることができる。この場合、解約申し入れがあった場合、2週間後に雇用契約は終了する。(民法627条1項)
(6) 解除
雇用期間の定めがある場合でも、やむを得ない事由があるときには直ちに雇用契約を解除することができる。ただし、やむを得ない事由があることについて過失がある場合は、相手方に対して損害賠償責任を負う。
事務管理、不当利益
[ 要 点 ]
◆管理者は、原則として本人、その相続人又は法定代理人が管理することができるようになるまで、その管理を継続しなければならない。
◆不当利益による悪意の受益者は、受けた利益に利息を付けて返還しなければならない。
◆不当利益による善意の受益者は、利益の存する限度で返還すれば足りる。
◆不法原因給付の原因がもっぱら受益者にある場合は、給付者は返還請求ができる。
1、事務管理
(1) 事務管理の意味
事務管理とは、例えば、隣の留守宅から出火したので、窓ガラスを割って入り火を消した場合のように、法律上の義務なく他人のためにその事務を処理することである。(民法697条)
本来であればよけいなお世話とも考えられるが、場合によっては、本人の利益にもなるとして、本人と義務なくして他人のために事務を処理した者(事務管理者)との間に委任と類似の関係が生ずるとしている。(民法701条参照)
(2) 事務管理の要件
事務管理が認められるためには、1、法律上の義務がないこと。2、他人のためにする意思があること。3、他人の事務の管理を始めること。4、事務の性質に従い最も本人の利益に適すべき方法によって管理をなすべきこととの要件が必要である。
(3) 事務管理の効果
1、管理者の義務
いったん他人の事務の管理を始めた者は、本人、相続人又は法定代理人が管理をなすことができるようになるまでその管理を継続しなければならない。(民法700条)
ただし、本人の意思や利益に反することが明らかになつたときは管理を止めなければならない(民法700条但書)
この他、管理者には管理開始の通知義務(民法699条)、事務処理状況の報告義務(民法645条)、受取物引渡義務(646条)等がある。
なお、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を防ぐために事務管理を行った場合(緊急事務管理)、悪意、重過失を除いて生じた損害については責任を負わない。(民法698条)
2、本人の義務
本人は、事務管理に要した費用の償還義務(有益なる費用。民法702条1項)や、管理者が管理のために負担した債務の弁済又は担保提供義務(民法702条2項、650条2項)を負う。
2、不当利益
(1) 不当利益の意味
例えば、AB間でA所有の土地につき売買契約が締結され、売り主Aが土地をBに引渡、買い主Bが代金をAに支払ったが、売買契約が無効であった場合、初めから売り主Aの土地引渡債務も買い主Bの代金支払い債務も発生しない。
また、AB間の契約が取り消されたときは、いったん発生した売り主Aの土地引渡債務や買い主Bの代金支払い債務は初めから発生しなかったことになる(契約の解除の場合も同様)
その結果、売り主AはBに土地の返還を、買い主BはAに代金の返還を請求できることになる。これが不当利益む制度であり、売り主Aや買い主Bの返還請求権を不当利益返還請求権という。
(2) 不当利益の成立要件
不当利益が成立するためには、1、他人の財産又は労務によって利益を受けたこと(受益又は利益)、2、そのために他人に損失を与えたこと(損失)、3、社会通念上受益(利益)と損失との間に因果関係が認められること(因果関係)、4、法律上の原因(法的根拠)がないことの要件が必要である。
3、不当利益の効果(受益者の返還義務の範囲)
受益者は、損失者に対して利益を返還する義務を負う。1、善意の受益者は、「利益の存する限度」(現存利益)の返還義務を負い、2、悪意の受益者は、その受けた利益の全部とその利息を返還しなければならない。それでもなお損害があるときは、賠償しなければならない。
4、不法原因給付
不法原因給付とは、例えば、麻雀賭博でAがBに負け、10万円を支払った場合のように、不法な原因に基づいてされた給付のことをいう。
不法の原因(公的良俗違反の行為)のため給付(代金の支払い、登記の移転や物の引渡など)をした者は、給付をしたものの返還を請求することはできない。(民法708条)
ただし、不法の原因がもっぱら受益者にある場合は、不法な行為者を保護することにはならないので、給付を行った者に返還請求が認められる。
|
|
|
|
|