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 危険負担

[ 要 点 ]

◆売買契約後、売り主が買い主に目的物を引き渡すまでの間に、売り主の責に帰すべからざる事由により目的物が滅失・毀損した場合は、危険負担の問題となる。

◆売り主の責に帰すべき事由により目的物が滅失・毀損した場合は、債務不履行の問題である。

◆売り主の履行遅滞中に、不可抗力によって目的物が滅失・毀損した場合は、債務不履行(履行不能)の問題である。

◆民法は、特定物における危険負担については、債権者主義を採用している。




1、危険負担の意味

売買契約後、売り主が買い主に目的物を引き渡すまでの間に、売り主の責に帰すべき事由により目的物が滅失・毀損した場合は、債務不履行(履行不能又は不完全履行)の問題である。

これに対し、売り主の責に帰すべからざる事由(延焼・地震・台風・洪水・落雷などの不可抗力の場合のほかに、買い主の故意・過失による場合を含む)により、目的物が滅失・毀損した場合は、危険負担の問題である。


(1) 債務者主義

双務契約において、一方の債務が債務者の責に帰すべからざる事由によって消滅すれば、他方の債務も消滅するというのが債務者主義である。

公平の観点から、民法は債務者主義を原則としている。(要点の部分と「ごっちゃ」にしないように注意して下さい。)


(2) 債権者主義

民法は、双務契約において債務者主義を原則としながら、特定物に関する物権の設定、移転を双務契約の目的とした場合、債務者の責に帰すべからざる事由によって滅失・毀損した場合は、債権者が危険を負担するとしている。

例えば、家屋の売買契約成立後、債務者(売り主)の責に帰すべからざる事由によって滅失・毀損した場合は、債権者(買い主)は代金債務を免れず、全額支払わなくてはならない。

もっとも実務上は、債権者主義は公平を欠くとして、債権者主義を排除する特約が結ばれることが多い。


2、停止条件付売買契約

停止条件付売買契約とは、売買契約の効力が条件(将来実現するか否かが不確実な事実)が実現したときに生ずるものをいう(例えば、試験に合格したら土地を売る、海外出張が決まったら家を売るなど)。


(1) 目的物が滅失した場合

特定物に関する物権の設定、移転を双務契約の目的とする場合、目的物が滅失したときは、債権者主義は適用されない。したがって、債権者は(買い主)、代金債務を免れる。


(2) 目的物が毀損した場合

目的物が毀損した場合は、債権者が危険を負担する。したがって、債権者(買い主)は、代金全額を支払わなくてはならない。


3、債務者の履行遅滞中の滅失・毀損

売り主の履行遅滞中に、不可抗力により目的物が滅失・毀損した場合は、危険負担の問題ではなく、債務不履行(履行不能)の問題とされる。

この場合は確かに、目的物の滅失・毀損それ自体に限っていえば売り主に帰責性がないが、売り主が履行を遅滞しなければ、目的物は滅失・毀損しなかったはずであるから、売り主の履行遅滞が原因で目的物が滅失・毀損したと考えて、目的物の滅失・毀損は売り主の責任によるものであるとされるわけである。
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