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| 担保物件3 (抵当権2、抵当権の処分、てき除・代価弁済) 担保物件4 |
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数年も前の話しですが、せっかくですのでここで「滌除」と比較して説明するとします。
「滌除」制度が「抵当権消滅請求」という制度に変わっています。
これまでの滌除(てきじょ)制度とは、ハンコ代等を求める後順位抵当権者を廃除するためなどに有効に利用されてきました。
しかし一方で、制度内容として抵当権者に増加競売や買取義務などが課せられている上、そもそも抵当権実行の際にも滌除権者へ権利保障のため抵当権実行通知義務があるなど、滌除制度は抵当権者に大きな負担となっていました。
現場においても、そこを狙って抵当権妨害の手段として利用されることも多く、いわゆる滌除屋の存在が問題視されていました。
そこで、滌除制度を改善し新たに導入されたのが、「抵当権消滅請求」制度です。
とは、ずっと前のお話し。
以上は試験には関係ありませんので、参考程度に留め置いていても大丈夫でしょう。
さて、従来の「滌除」制度と比較した「抵当権消滅請求」制度の内容は、以下のとおりです。
ここからが重要となります。
まず「抵当権消滅請求」とは?ですが、簡単に説明すると、
抵当権が設定された不動産の所有権を買い受けた者(第三取得者)が、抵当権者に、「代価を支払うので抵当権を抹消してほしい」と請求することです。
抵当権付の不動産物件を、その所有者が、抵当権者ではない第三者(第三取得者)に売ったとします。
そのあとで、この第三取得者が、抵当権者に「相当の代価を払うので抵当権を抹消してほしい」と頼むことを、抵当権消滅請求と言います。
また、これとは逆のパターンで、
抵当権者のほうが先に、その権利に相当する金額を、新しい所有者である第三取得者に請求し、その支払いがなされた場合、その物件からは抵当権が消滅しますね。
これを代価弁済と言います。
■ 主体の限定
(滌除制度では、地上権者、永小作権者も請求権者となっていましたが)
◎抵当権消滅請求制度では、請求権者は、所有権者のみに限定されます。
■ 増加競売・増加買取義務の廃止
(滌除制度では、抵当権者が滌除の申出を断る場合、増加競売を申立てる必要があり、1割増で競落する人がいない場合、自分が買受人にならなければなりませんでした)
当権消滅請求制度では、抵当権者は、第三取得者から抵当権消滅請求がなされた場合、普通の競売を申し立てればよく、競落してくれる人がいなくても、自分で不動産を買取らなくても良いのです。
◎抵当権消滅請求制度では、競落してくれる人がいない場合、抵当権消滅の金額を調整の上、再度抵当権消滅請求(抵当権消滅請求→普通の競売)が繰り返されます。
■ 競売申立時期の見直し
(滌除制度では、抵当権者は、第三取得者から滌除の申出を受けた場合、1ヶ月以内に競売の申立をしないと承諾したものとみなされていました)
◎抵当権消滅請求制度では、上記期間が2カ月の期間となります。
これによって、抵当権者は、抵当不動産の時価等の価格、落札の見通分析などをより調査でき、抵当権消滅請求を承諾するか、拒絶して競売の申立を判断することができます。
■ 抵当権実行通知の廃止
(滌除制度では、第三取得者に、滌除権行使の機会を保障するため、抵当権者が抵当権を実行する場合には、実行する旨の通知を第三取得者に行うものとされ、通知後1か月待って抵当権の実行を申し立てることになっていました)
◎抵当権消滅制度では、抵当権実行手続きが遅らせないように、この抵当権実行通知は廃止されています。
以上のように、抵当権消滅制度では、制度内容について、請求権者を限定し、抵当権者の義務の軽減化を図り、手続保障をやや後退させることで、抵当権者側に配慮しています。
[ 要点 ]
◆抵当権の処分には、抵当権の順位の変更、転抵当、抵当権の譲渡・放棄、抵当権の順位の譲渡・放棄がある。
◆抵当権の順位の変更は、各抵当権者の合意だけでなく、利害関係人の承諾を要する。
◆抵当権の順位の変更の効力は、登記によって生じる。
◆抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とすることができる。
◆抵当不動産の第三所得者が一定の金額を抵当権者に支払い又は供託してその抵当権を消滅させることをてき除という。
◆抵当不動産の所有権又はその上の地上権を買い受けた者(第三取得者)が、抵当権者の請求がある場合に、抵当権者に買い受け代金を支払って抵当権を消滅させることを代価弁済という。
1、抵当権の処分
抵当権の処分には、1、抵当権の順位の変更、2、転抵当、3、抵当権の譲渡、4、抵当権の放棄、5、抵当権の順位の譲渡、6、抵当権の順位の放棄がある。
(1) 抵当権の順位の変更
抵当権の順位に関しては、原則として同一不動産上の複数の抵当権が設定されている場合、その順位は登記の前後による、とされているが、この順位は抵当権者の合意によって変更することができる。
例えば、債務者甲に対して、債権者ABCがそれぞれこの順位で登記された抵当権を有しているとしよう。
抵当権の順位は、ABC3者の合意により、例えば、Cを第1順位、Bを第2順位、Aを第3順位にするなど、その順位を変更することもできる。
この場合、利害関係者がある場合は、その承諾が必要であるが、利害関係者とは、例えば、Aが甲に対して有する債権の差し押さえ債権者や転抵当権者などで、抵当権設定者は利害関係人ではない。
なお、抵当権の順位の変更は、登記により効力が生じるとされており、登記は対抗要件ではないことに注意を要する。
(2) 転抵当
抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保にすることができる。
例えば、AがBに対する債権についてB所有の土地に抵当権を有する場合には、Aは、その抵当権を抵当に入れてCなどから借り入れをすることができる。
(3) 抵当権の譲渡・放棄、抵当権の順位の譲渡・放棄
例えば、Aが甲に2億の債権を有し、甲の所有する土地(価格4億円)上に1番抵当権を有しているとしよう。また、Bが甲の土地上に2番抵当権(被担保債権額1億円)、Cが甲の土地上に3番抵当権(被担保債券額2億円)を有し、Dが甲に対して2億円の債権を有しているとしよう(抵当権は有していない)。
この場合において、Aが抵当権の譲渡・放棄、抵当権の順位の譲渡・放棄をした場合、以下のようになる。
1、AからDへの抵当権の譲渡の場合。Dが優先して弁済を受け、残額をAが受け取る。
2、AからDへの抵当権の放棄の場合。債券額に応じてAとDが平等に弁済を受ける。
3、AからCへの抵当権の順位の譲渡の場合Cが優先して弁済を受け、残額をAが受ける。
4、AからCへの抵当権の順位の放棄の場合。債権額に応じてAとCが平等に弁済を受ける。
2、てき除・代価弁済
抵当不動産の第三取得者を保護する制度として「てき除」・代価弁済の制度がある。
(1) てき除
てき除とは、抵当不動産の所有権、地上権、永小作権を取得した者で主たる債務者、保証人、これらの承継人以外の者が、抵当権者に一定の金銭を支払い又は供託して、抵当権を消滅させる制度である。
例えば、BがAから借金して自己の所有する土地にAのために抵当権を設定し登記をした後Cに売却した場合、抵当権付きの土地を買ったCが、当該土地の評価額を抵当権者Aに支払って抵当権を消滅させることができる。
てき除は、代価弁済と異なり第三取得者が一方的に請求できるところに特徴がある。
なお、被担保債権の債務者やその保証人は、てき除をすることができない。また、抵当不動産について、賃借権を取得した者もてき除することができない。
(2) 代価弁済
代価弁済とは、抵当不動産の所有権、地上権を買い受けた第三者が抵当権者の請求に応じて、抵当不動産の代金額を弁済した場合、その第三者のために抵当権を消滅させる制度である。
例えば、上例で、抵当不動産を買ったCが抵当権者のAの請求に応じて売買代金をAに支払って抵当権を消滅させることができる。
てき除の場合と異なり、代価弁済の場合は、抵当権者が請求したことが必要である。
担保物件4 (抵当権2、法定地上権・一括競売・短期賃貸借の保護)
[ 要点 ]
◆法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時、土地上に建物が存在することが必要である。
◆抵当権設定当時、土地と建物が同一人の所有に属すれば、その後に土地又は建物が譲渡された場合でも、法定地上権は成立する。
◆抵当権設定当時、土地上に建物が存在すれば、その後に建物が滅失して再築された場合でも、法定地上権は成立する。
◆一括競売が認められるためには、更地に抵当権が設定された後に、抵当権設定者自らが更地上に建物を建築したことが必要である。
◆一括競売するか否かは抵当権者の自由であり、一括競売しなければならないわけではない。
◆短期賃貸借が抵当権者に損害を及ぼすときは、抵当権者の請求 により、裁判所は、その賃貸借を解除することができる。
1、法定地上権
(1) 法定地上権の意味
抵当権設定時に土地・建物の所有者が異なっているときは、賃借権等の利用権が設定されているのが普通であるが、土地・建物が同一の所有者に属するときは、所有者は自己の土地に賃借権等の土地利用権を設定することは認められていない。
したがって、競売があると建物は存立の根拠を失い、取り壊さなければならなくなる。そこで法律の規定によって地上権(法定地上権という)を生じさせることとした。
例えば、Aが自己の所有する建物に甲のために抵当権を設定し、その抵当権が実行されて、Cが競売によって建物を買い受けたとしよう。
Cは、Aの土地を利用する権利を有していないため、Aから「土地を取り壊して出て行け」と言われたら、これに従わざるを得ない。しかし、Cが建物を取り壊さなければならないとするのは、酷であり、また社会経済的にも損失となる。
そこで、民法は、競売の買い受け人Cは、建物のために地上権を法律上取得出きるとした。
(2) 法定地上権の成立要件
1、抵当権設定当時、土地上に建物が存在すること。
2、抵当権設定当時、土地と建物の所有者が同一であること。
3、土地・建物の一方又は双方に抵当権が設定されたこと。
4、抵当権の実行により、土地と建物が別々の所有物となること。
以上の4つの要件を満たす限り、登記の有無や登記名義に関係なく、法定地上権は成立し、また建物が滅失して再築された場合でも、法定地上権は成立する。
さらに抵当権設定後に、土地や建物が譲渡された場合でも、法定地上権は成立する。
2、一括競売
(1) 一括競売の意味
更地に抵当権を設定した後に抵当権設定者が建物を建てた場合、抵当権が実行されて土地が競落されると、建物は存立の根拠を失い、(自己の土地に賃借権等の設定が認められていないため)、抵当権設定者は建物を撤去しなくてはならなくなる。これは、社会経済的に損失である。
そこで、このような場合、抵当権者は土地とともに建物を一括して競売できるとした。ただし、優先弁済は土地の競売代金のみから受けられる。
例えば、Aが更地に甲のための抵当権を設定したとしよう。Aは、土地を自由に使用収益することができるため、その土地上に建物を建築することができる。
ここで、土地の抵当権の効力は、建物には及ばないとすると、甲は、土地についてのみ抵当権を実行できるにすぎない。
その結果、Bが競売により当該土地を買い受けた場合、Aは、建物を利用するための借地権は有しないので、Bは、Aに対して「建物を取り壊して出て行け」ということになる。
やはり、建物の取り壊しの問題が生じ、Aに酷であり、また社会経済的に損失となる。
そこで、抵当権者甲は、土地とともに建物をも一括して競売にかけることが認められる。
(2) 一括競売の成立要件
1、更地に抵当権が設定されたこと。
2、抵当権設定権者が自ら更地上に建物を建築したこと。
3、抵当権実行時に抵当権設定者が建物の所有権を有すること。
以上の3つの要件を満たせば、抵当権者は土地とともに建物を一括して競売することができる。
なお、一括競売するか否かは、抵当権者の自由であり、抵当権者は、一括競売をせずに土地だけを競売にかけることもできる。
3、短期賃借権の保護
(1) 短期賃貸借の保護の意味
短期賃貸借の保護とは、抵当権設定登記後に成立した賃貸借であっても、一定の要件を満たす場合に抵当権者・買い受け人(競売人)に対抗できるとする制度である。
(2) 短期賃貸借の要件
抵当権の設定登記後に設定された賃借権でも、以下の期間以内であり登記を備えれば、抵当権者・競売の買い受け人に対抗することができる。
1、山林は10年以内、2、その他の土地は5年いない、3、建物は3年以内の賃貸借であること。ただし、短期賃貸借が抵当権者に損害を及ぼすときは、抵当権者の請求により、裁判所は、その賃貸借を解除することができる。 |
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