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 担保物件1 (留置件 先取特権)

[ 要点 ]

◆留置件は設定契約によらず、法律上当然に成立する担保物件である。

◆留置件には、物上代位性は認められない。

◆一般の先取特権には、物上代位性がみとめられない。




1、留置権

(1) 留置権の意味

留置権とは、他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権を有する場合に、その債権の弁済を受けるまでは、その物を留置することができる担保物件である。

例えば、自転車屋Aが、Bの自転車を修理したとき、修理代金の弁済を受けるまでは、その自転車を留置することができる。

(2) 留置権の性質

留置権は、次ぎの性質を有する。1、留置権は、抵当権や質権と異なり、設定契約によらず法律上当然に成立する。(法定担保物件)。また、2、留置権にも、担保物件の一種として、抵当権や質権と同様、附従性、随伴性、不可分性が認められる。

しかし、物上代位性は認められていない。3、留置権は、被担保債務の弁済があるまで、目的物を留置することができるという留置的効力だけが認められているにすぎず、優先弁済的効力は認められていない。

(3) 成立要件

留置権は、法律上当然に成立するが、そのためには、以下の要件が必要である。

1、留置権者が他人の物を占有すること。
2、その物に関する債権を有すること。

 例えば、時計を修理した者が修繕費債権を有する場合、賃借人が賃借物に費用を支出したために費用償還請求権を有する場合などがある。
3、債権は、弁済期にあること。
4、占有が不法行為によって始まったものではないこと。

 例えば、他人の物を盗んだり横領したりした者が、その物を修繕しても、修繕費の償還請求権について留置権は認められない。不法行為をした者は保護に値しないためである。

(4) 対抗要件

留置権の対抗要件は、目的物を占有することである。留置権の目的物が不動産である場合も、対抗要件は登記ではなく、占有である。

(5) 留置権の効力など

1、留置権者は、被担保債務の弁済があるまで目的物を留置することができるが、その間の利益(賃料相当額)を返済しなければならない。
2、留置権者は、善良な管理者の注意をもって目的物を占有することを要する。


2、先取特権

(1) 先取特権の意味

先取特権とは、法律に定める特殊の債権を有する者が、債務者の財産から、他の債権者に対して、その債権の弁済を受けることのできる担保物権である。

例えば、大工AがBから建物の修繕を頼まれて、これを修繕したときは、報酬請求権について、当該建物の上に(不動産保存の)先取特権を法律上当然に有することになり、Bが報酬を支払わないときは、建物を競売にかけて、競売代金から報酬の弁済を受けることが可能となる。

(2) 先取特権の種類

先取特権には、1、一般の先取特権、2、動産の先取特権、3、不動産の先取特権の3種類がある。


(3) 先取特権の性質

先取特権は次ぎの性質を有する。

1、先取特権にも、担保物件の一種として、附従性、随伴性、不可分性、物上代位性が認められている。ただし、一般の先取特権は、物上代位性がない。
2、先取特権は、留置権と同様、法律上当然に成立する法定担保物権である。
3、先取特権には、抵当権や質権と同様、優先弁済効力が認められている。


(4) 対抗要件

1、不動産の先取特権の対抗要件は登記である。
2、適法に登記された不動産保存の先取特権及び不動産工事の先取特権は、先に登記された抵当権や不動産質権に優先する。
3、不動産売買の先取特権と、抵当権・不動産質権の優劣は、原則に従い登記の前後による。




担保物件2 (抵当権1、質権)


[ 要点 ]

◆地上権及び永小作権は、抵当権の目的とすることができる。

◆抵当権の効力は、原則として、土地の上の建物には及ばない。

◆抵当権の効力は、設定行為に別段の定めのない限り、抵当不動産の附加一体物に及ぶ。

◆質権は、質権設定者がその目的物を引き渡さなければ効力を生じない。

◆質権設定者は、質権者に代わって質物を占有することができない。




1、質権


質権とは、債権者がその債権の担保として、債務者又は第三者(物上保証人)から受け取った物(質物)を債務の弁済があるまで留置して、債務者の債務の履行を間接的に強制するとともに、債務の弁済がないときは、その質物の交換価値から優先弁済を受けることができる担保物件である。

質権は、抵当権同様、当事者間の設定契約によって発生する約定担保物権であるが、質権設定契約は抵当権と異なり、目的物の引き渡しを要する(要物契約)。

質権も、附従性・随伴性・物上代位性・不可分性を有し、優先弁済的効力を有する。この他、質権は留置的効力を有し、引き渡しを受けた物を被担保債務の弁済があるまで留置することができる。

抵当権の目的物は、不動産と地上権・永小作権に限られているが、質権の目的物は、譲渡できるものであればよい。動産、不動産、さらに動産や不動産以外の財産権(貸借権等の債権など)も質権の目的物とすることができる。(権利質)。

なお、質権者は、目的物を善管注意義務をもって占有することを要する。

質権によって担保される債権(被担保債権)の範囲は、元本の他に、利息の全部が含まれる。この点で、抵当権の場合は利息等が最後の2年分に限られることとなる。


2、抵当権

抵当権は、債務者又は第三者が、その所有する不動産その他の物の占有を移さないでこれを使用収益しながら担保の用に供し、債務が履行されない場合に、債権者がその目的物の価値から他の債権者に優先して弁済を受けられる権利である。

例えば、AがBより1.000万円を借金し、その担保として自己の所有する土地にBのために抵当権を設定した場合、Aが期限になっても返済しないときは、Bは抵当権を実行し土地の競売代金から優先的に弁済を受けることができる。

抵当権は、当事者間の設定契約によって成立する約定担保物権である。

(1) 抵当権の性質・効力

抵当権は、附従性・随伴性・物上代位性・不可分性を有し、優先弁済的効力を有する。

(2) 抵当権の目的

抵当権の目的とすることができるものは、1、不動産、2、地上権、3、永小作権、である。

(3) 被担保債権

1、抵当権によって担保される債権(被担保債権)は、金銭債権以外の債権(被金銭債権)でもよい。さらに、2、被担保債権は発生することが確実であるならば、将来の債権でもよい。

抵当権によって担保される被担保債権の範囲については、利息等は満期の到来した最後の2年分に限られる。


(4) 抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲

1、付加一体物

抵当権は、抵当権の目的物である不動産と付加一体物に及ぶ。

付加一体物とは、土地に抵当権が設定された場合の土地上の庭木や建物に抵当権が設定された場合の建物内の建具・増築部分など、抵当不動産に付着して容易に分離できなくなった物のことである。

抵当権設定当時のものだけではなく、抵当権設定後に抵当不動産の付加一対物になったものにも抵当権の効力が及ぶ。

2、従物・従いたる権利

建物に抵当権が設定された場合は、建物の従物にも抵当権の効力が及ぶかについては争いがあるが、判例は、抵当権設定当時の従物には抵当権の効力が及ぶとしている。

3、天然果実

天然果実には、抵当権の効力は及ばない。ただし、抵当権者が抵当権実行のために、抵当土地を差し押さえた後は、抵当権の効力が及ぶ。

4、法定果実(賃料)、抵当不動産の売却代金等

物上代位により、抵当不動産の賃料(法定果実)、売却代金、抵当不動産が滅失・毀損した場合の損害賠償金、抵当不動産にかけられた保険金などにも抵当権の効力が及ぶ。

5、土地に抵当権が設定された場合の土地上の建物

土地と建物は、別個の不動産であるため、土地に抵当権が設定されても、土地の抵当権の効力は、建物には及ばない(ただし、法定地上権や一括競売などの問題が生ずる)。
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