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[ 要点 ]
◆代理行為の効果は、代理してなされた法律行為から生ずる法律的な効果が直接本人に帰属することである。
◆制限能力者も代理人となることができる。
◆任意代理人は、特に本人の信任を得て代理人となった者であるが、本人の許諾を得たとき又はやむを得ない事由がある場合には、復代理人を選任することができる。
◆任意代理人は、復代理人の行為について、本人に対して全責任を負わなければならないわけではない。
◆任意代理人は、本人の許諾又はやむを得ない事由がなければ復代理人を選任することができないが、法定代理人は、本人の許諾を必要とせず、その責任において復代理人を選任することができる。
◆復代理人は、本人を直接代理する。
◆代理人は、復代理人を選任しても代理権を失うものではなく、選任後は復代理人と同等の立場で本人を代理することとなる。
1、代理とは?
例えば、Aは、土地を売りたいが、自分は忙しくて契約の交渉をしている暇がないし、専門的な知識もないため、他人に代わって契約をしてもらう必要がある。
また、未成年者が契約をする必要がある場合、保護者が未成年者に同意を与えて、未成年者自身に契約をさせることもできるが、未成年者が、例えば、幼稚園に通っている子供などの場合は、その子供に契約をさせるのは不可能であり、このような場合にも、子供に代わって他人(保護者)が契約をする必要が生じる。
このような必要性に基づいて認められたのが代理の制度である。
2、代理の意味
代理とは、例えば、AがBに依頼して、その所有する土地をCに売却してもらう場合であるため、通常、3人の人物が登場する。
この場合に、自分Aに代わって契約をする人Bを「代理人」、代理人に代わって契約をしてもらう人Aを「本人」、代理人と契約をする人Cを相手方といい、代理人と相手方の間でなされる契約(BC間の売買契約)のことを「代理行為」という。
契約を締結するのは、代理人と相手方であるが、契約が成立するのは、本人と相手方間である。(つまり、Aが売り主、Cが買い主となる)
このように、代理人・相手方で契約が締結されることによって、本人・相手方間に契約が成立することを、「代理行為の効果が本人に帰属する。」と表現する場合もある。
3、代理の成立要件
代理行為が有効に成立するためには(代理行為の行為が本人に帰属するためには)、ア、代理人が本人の代理権を有すること(代理権の存在)、イ、代理人が、相手方に、本人のためにすることを示して(顕名=けんめい)、代理行為をしたことという2つの要件が必要亜である。
ア、代理権が存在すること(任意代理と法定代理)
代理権には、本人が依頼して代理人に代理権を与える「任意代理」と法律の規定によって当然に代理権が与えられる「法定代理」がある。
イ、代理人が顕名して、代理行為をしたこと
顕名とは、代理人Bが相手方Cと契約をするとき、Aのために契約をすること(Aが契約の当事者であること)を表示することである。
顕名の方法としては、BがAから受け取っていた委任状をCに示すというのが普通である。
4、代理人の能力
制限能力者も、代理人になることができ、制限能力者が代理人としてなしてきた契約は、本人も、制限能力者本人も、またその保護者も、取り消すことはできない。
5、復代理人
代理人が、さらに代理人(復代理人という)を選任して本人を代理させる場合ほ復代理という。
例えば、BがAから土地売却の代理権を与えられていたが、Bが忙しいため、DをAの代理人として選任して、Cに土地を売却させる場合である。
復代理人は、代理人によって選任されるが、本人の代理人であり、復代理人が代理行為をするときは、本人を顕名することを要し、復代理人の代理行為の効果は、本人に帰属する。
代理人は復代理人を選任しても代理権を失うわけではない。
6、復代理人の選任
代理人が、どのような場合に、復代理人を選任(復任ともいう)できるかは、法定代理と任意代理の場合とで異なる。
7、代理人と復代理人の関係
復代理人は、いわば一時的に代理人に代わって代理行為をする者であるため、復代理人を選任した後も、代理人は代理権を失わず、代理人は、自己の代理権の範囲内でのみ、復代理人に代理権を与えることができるにすぎず、代理人の代理権が消滅すれば、復代理人の代理権も消滅することとなる。
代理 (2)
[ 要点 ]
◆官庁がその一部とみられるような名称を使用させ、庁舎の一部で第三者と取り引きすることを認めた場合には、その官庁の代理人とする旨を表示したことになる。
◆無権代理人が契約をした場合において、相手方は、代理権のないことを知っていたとしても、相当の期間を定め、当該期間内に追認するかどうか解答することを本人に対して催告することができる。
◆代理権のない者が行った行為は、本人が追認すると、最初から代理権があったと同様の効果を生じさせる。
1、無権代理
代理人と称して相手方と契約をした者に代理権がなかった場合が無権代理である。
例えば、BがAの代理人と称して、A所有の土地をCに売り渡す契約をしたが、実は、Bは、代理権をAから与えられていなかったという場合である。
この場合のBを無権代理人といい、また、その契約を無権代理行為という場合がある。
無権代理行為をしても、本人に効果が帰属しない(つまり、無権代理行為は無効である)が、(1)本人が無権代理行為を追認したときは、契約の時に遡って有効となり、(2)表見代理が成立するときは、無権代理行為は有効となる。
2、表見代理
(1) 種類
無権代理の場合でも、表見代理が成立するときは、無権代理行為は有効となるとしているが、この表見代理には、以下の3種類があって、それが成立するためには、一定の条件が必要となる。
・権限踰越の表見代理
例えば、代理人Bが本人Aから土地を賃貸することを依頼されたに過ぎないのに、土地を売却してしまった場合のことである。
・代理権消滅後の表見代理
例えば、Aから土地の賃貸を依頼されていたBが代理権を失った後に、その土地をCに賃貸した場合のことである。
・代理権授与表示による表見代理
例えば、Aが実際にはBに代理権を与えていないのに、Cに対して代理権を与えた旨を表示してしまった場合のことである。この場合、Cが善意・無過失でBとの契約をした時は、その契約は有効となる。
判例に、A裁判所がその庁舎内で「A裁判所厚生部」という名称での事業の継続を認めたときには、その厚生部がする取引が自己の取引であるような外見を作り出したのであるから、民法109条(代理権授与表示による表見代理)の適用があるとしているものがある。
(2) 表見代理が成立すること
前述の例の3つのケースの場合は、表見代理が認められる。この場合無権行為が有効になるとされるている。これは、本人Aよりも、善意・無過失のCを保護する必要があると考えられたためである。
3、無権代理人の責任
例えば、BがAの代理人と称して、Cから建物を購入する契約をしたが、Bが無権代理人であった場合、本人が追認した場合や表見代理が成立したときは、契約は無効となるが、そうで無い限り、契約は無効であり、Cは、不利益をうけることになる。
そこで、この場合は、無権代理人Bは、Cに対して責任を負わなければならないとしている。
この責任とは、本人が追認しない場合は、無権代理人と契約した相手方は、その選択により、むけん代理人に対し、履行、又は損害賠償の責任を追及することができるというものである。
ただし、(1)相手方が悪意又は有過失の場合、(相手方が無権代理であることを知っていた場合又は注意すれば知り得た場合)または、(2)無権代理人が制限能力者の場合には、責任をとらなくてもよい。
なお、表見代理の成立する場合でも、表見代理の成立の主張と無権代理人への責任の追及は選択できるという判例がある。
4、無権代理行為の相手方の保護
無権代理人と取り引きした相手方を保護するために、催告権と取消権という2つの権利が与えられている。
催告権とは、無権代理行為の相手方は、相当の期間を定めて、たとえ悪意でも追認するか否かを本人に催告することができ、その期間内に本人が解答しなかった場合は、追認を拒絶したものとみなされるというものである。
取消権とは、無権代理であることにつき善意の相手方は、本人の追認がない間は、契約を取り消すことができるというものである。
代理 (3)
[ 要点 ]
◆代理権は、本人の死亡により消滅するが、代理人の死亡、後見開始の審判又は破産にっても消滅する。
◆代理人が破産宣告をうけると、代理権が消滅する。
◆同一の法律行為について、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることは、いかなる場合であっても許されないわけではない。
1、代理行為
(1) 顕名を欠く場合
代理人が相手方と契約をする場合には、本人のためにすることを示さなければならないが、これをしなかった場合(顕名を欠く場合)は、原則として、本人に効果は帰属せず、代理人自身りの契約とみなされ、代理人が契約の当事者となる(例外との関係から、相手方が善意・無過失である場合。)。
例外として、代理人が顕名をしなくても、代理人が本人のために契約をしていることを、相手方が知り又は知ることができた場合は、契約の効果が本人に帰属する。(相手方が悪意又は有過失の場合)。
(2) 代理行為の瑕疵
実際に契約を締結するのは、本人ではなく、代理人である。そこで、代理人の締結した契約が有効か否かは、代理人を基準に判断することとされている。
原則として、代理人のした契約(代理行為)の効力が、詐欺・強迫・虚偽表示・心裡留保・錯誤などにより影響を受ける場合は、その事実の有無は、本人ではなく代理人を基準に判断する。
例外として、代理人が、本人の指図に従って契約をした場合に、本人が悪意のときには、本人は、代理人の締結した契約の無効を主張したり、契約を取り消すことはできない。
なお、代理行為の瑕疵を主張できるのは、代理人でなく本人である。
2、代理権
(1) 代理権の範囲
代理人が、どこまでの契約をすることかできるかは、法定代理の場合は、法律の規定により定まる。任意代理(委任による代理)の場合は、本人と代理人との間の代理契約により代理権の範囲が決まることとなる。
しかし、AがBに、「財産の管理はまかせた」とのみ言い残してどこかにでかけてしまった場合のように、代理権の範囲が不明確な場合は、代理人は、「管理行為」のみを行うことができるとされ、処分行為(売却してしまうこと)はできないものとされている。
「管理行為」とは、・保存行為(目的物の修繕行為など)、・利用行為(目的物を賃貸することなど)、・改良行為(無利息債権を利息付きにするなど)のことである。
(2) 自己契約と双方代理
自己契約とは、代理人Bが同時に相手方となって一人で契約をする場合である。
例えば、Aから土地の売却を頼まれた代理人Bがその土地を自分で買ってしまう場合である。
これは、原則として向こうである。これを自由に許すと、Bは、代金を不当に安くするなどして、Aの利益を害する恐れがあるからである。
双方代理とは、Bが同時に当事者双方の代理人となる場合である。
例えば、Aから土地の売却を依頼されていた代理人Bが、たまたまCから土地購入の依頼を受け、A及びCの代理人として、一人で売買契約をする場合である。
この双方代理も原則として無効である。Bが本人Aの利益を考えて、代金を高くすれば、Cの不利益となり、逆に、相手方Cの利益を考えて代金を安くすれば、今度はAの不利益となるためである。
ただし、本人が事前に同意している場合や事後に追認した場合は、自己契約・双方契約は有効となり、本人に効果が帰属する。また、例えば、すでにAC間で売買契約が成立している場合は、A及びCがBに代金の支払いや登記の申請を依頼しても、Bは、単に決められたことをするにすぎず、AやCの利益が害される恐れがないため、双方代理も許される。以上のことは自己契約の場合も同様である。
3、代理権の消滅
代理人の代理権は、本人又は代理人に一定の事由が生じた場合に消滅する。 |
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