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民法の全体構造
[ 要点 ]
◆民法は大きく「財産法」と「家族法」に分かれる。
◆財産上の問題を解決するに「権利」という一種の力関係を想定し、権利関係がどうなっているのかを確定させることで問題を解決させる。
◆あらかじめ問題が生じないように民法という共通の基準にそって行動することも行われる。
1、民法の存在とその登場場面
多くの人は、いわゆる常識というものを持っていて、何か物を買った場合、当然のようにお金を払うし、買った物は自分の物になる。(誰かに頼まれて買い物をした場合には頼んだ人の物になる。)と思う。かりたお金は返さなければならないし、貸したお金は返してもらえると思っている。
あるいは、相続によって財産をもらえるといったことも漠然と知っている。これにそっていけば暮らしの中で起こることがらについて、特に法律を意識しなくても困らないことも少なくない。
しかし、常識道理にいかない場合や、常識と思っていたことがそうではなかった場合、問題が生じる。
例えば、どうしても代金が支払われない、複数の人が1つの物についてお互いに自分の物だと主張する。交通事故で怪我をしたので治療費を請求する場合などであるが、問題が生じた場合でも、話し合いによって解決できればそれにこしたことはない。
だが、それもうまくいかないことがある。この時問題解決の基準となるのが、「民法」であるが、問題解決だけでなく、あらかじめ問題が生じないように民法にそった行動をとることもなされている。
2、民法の守備範囲
民法によって解決される問題の範囲あるいは示される行動の基準の範囲は、上例にとどまらずかなり広い。基本的には、大きく分けて2つの分野がある。
1つは、財産関係(何か売り買いしたり、貸し借りしたりしたときはどうするのがよいか。ある物を誰かが、どのように利用できるとしておくのがよいか)といったことに関してである。
もう1つは、家族・親族関係を法律的にどう捉えて、どう扱うのがよいのか、人が亡くなったときにその人の生前の法律関係(財産等)をどう扱えばよいのかに関することである。
前者は民法の中でも「財産法」といわれる分野であり、後者は「親族相続法(家族法)」といわれる分野である。
3、問題解決の方法(財産法に関して)
民法にはたくさんの条文があり、その中から問題解決に必要な部分をピックアップして組み合わせると、具体的な問題に対して本来はどのような関係が望ましいのかという法律上の結論を示してくれる。
例えば、物を売ったり買ったりすると、売った人に代金が支払われるようにする。そのための手段として民法は「権利」という目に見えない力関係を想定し、その力関係が条文によって一定の場合どのようになるのか(例:物を売った人は買った人に対してお金を払えと言う権利をもつことにする)ということを確定する基準を与えること(そして権利の内容を自発的に守ってもらう、あるいは国によって強制的に守らせる)で問題を解決できるようにしている。
ちなみに、この「法律的にそうあるべきとされる力関係」は、「権利関係」や「法律関係」と呼ばれるが、裁判では問題解決に必要な事実が認定され、その事実をもとに必要な条文がピックアップされ、その事実が法律の条文にあてはめられ、法律関係が確定されることになる。
権利と義務・民法の基本原則
[ 要点 ]
◆権利の分類の仕方に物権と債権に分ける仕方がある。
◆権利と義務は表裏の関係にある。
◆民法の基本原則には、所有権絶対(尊重)の原則、契約自由(私的自治)の原則、過失責任主義、権利能力平等の原則がある。
◆権利は公共の福祉に従うとされ、権利の行使は信義に従い、誠実に行わなければならないとされ、さらに権利濫用が禁止されている。
◆所有権の侵害による損失が軽微で、しかも侵害の除去が著しく困難で多大な費用を要する場合に、土地所有者が不当な利益を得る目的で、その除去を求めることは許されない。
◆信義誠実の原則は、権利の行使又は義務の履行だけでなく、契約の趣旨を解釈する基準にもなる。
1、権利と義務
民法は、その道具として「権利」という一種の力関係を利用するということである。その力にもいくつかの分類がある。最も重要なのは、債権と物権の分類である。
債権はある特定の人から他の特定の人に対して一定のことをさせることができる権利(力)であるし、物権は物を誰にも邪魔されずに、使ったり、使って利益をあげたり、処分したりすることができる権利(力)である。
ところで物権という言い方でいい表しているが、例えば、「売買契約をした場合、売り主は買い主に対して代金を支払え」ということができるが、これに対して買い主は売り主に代金を支払わなくてはならない。
ひとつの力関係ではあるが、売り主から見れば権利ということになり、買い主から見れば義務ということになる。代金を支払えというのは債権ということになり、権利を有する人は債権者、義務を負う人は債務者という。
2、民法の基本原理
ところで、民法について全体を通して、最も基本的な考え方=基本原則は、所有権絶対(尊重)の原則、契約自由(私的自治)の原則、過失責任主義、権利能力平等の原則といったところである。
これらの原則は徹底させすぎると不都合を生じるので、修正が加えられる。
(1)所有権絶対の原則
自分の物なのに、勝手に人が使ったり、国によって理由もなく没収されてしまうとすれば、その物を持っているという意味があまりないし、売り買いしてもその物を完全に自分のものにすることができないので、買おうとする者が出てこないといった不都合が生じる。
財産関係のあるべき姿を考えるときに、まず、自分の物を自由に使用、収益、処分でき、それが尊重されるということが、認められなければならない。そこで、物に対する所有権という権利が認められ、尊重されている。
修正に関し、例えば、「自分の土地を自由に使えるということで木造の数十階建ての建物を建ててもよいということになれば、危険でもあるし、日照等の問題で周囲の環境も変化する。
このようなことは避けたい。所有者に対して、法令などで一定の制限がかけられる場合がある。
また、民法によっても、権利は公共の福祉に従うとされたり、権利濫用が禁止されている。
(2) 契約自由の原則
権利関係はある前提に対して、あるべき状態となるように変わっていくが、その前提となることとして最も多いのは「契約」が結ばれたことである。
ところで、契約と言う言葉自体はよく聞くが、イメージとしては「約束」ということである。すでに出てきた、物を売ったり買ったり、お金を貸したり借りたりするということは契約(売買契約や消費賃貸契約)によってなされる。
ただ、これが権利関係を動かすことになるので、仮に守られなかった場合には、国によって強制的に守らせたり、損害賠償の対象となったりする。
この点、単なる契約とは異なる。
契約は守らなければならないし、守らされることになるが、結局は当事者が自分の意志で契約を結んだわけであるから当然の結果である。
このように契約を結ぶことは自己責任を負うことになるので、その内容をはしめとして、相手方選択、方式の自由、さらには契約を結ぶかどうかの自由があるとされる。
なお、契約の自由はさらに私的自治の原則ということと広く捉えられることもある。
修正に関し、民法は平均的な契約をした場合に、法的にどう扱うかを定めているが、現実には力関係の違った者の間の契約がなされることもある。
この時「弱い者いじめ」にならないようにな修正が必要であり、信義に従い誠実に行わなければならないとする。
(3) 過失責任の原則
民法上、契約を守ることができなかったり、人を傷つけたりした場合には、損害賠償支払いの責任を負うことになるが、その前提として行為者に故意(わざと)や過失(うっかり)がなければならないとされる。
逆に、このような「落ち度」がなければ、責任を負わなくてもよいということになる。
修正に関し、被害者保護のため無過失でも責任を負わなければならないという法令もでてきている。
(4) 権利能力平等の原則
いわば民法の登場人物である個人は、すべて平等に権利を持ち義務を負うことができるということの原則。 |
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