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行政手続法
総合 標準処理期間 聴聞手続 行政指導

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 行政手続法


■行政手続法

行政手続法は、条文に沿って一つ一つ学習していけば比較的点数を稼ぎやすい科目です。
 
法解釈上の争いもそれほどありませんので、憲法の統治機構の条文と同様、条文の形で正確に学ぶべきかと思います。
 
条文にとらわれない行政手続法の性格を聞く問題や、他の法律との比較・対照を問う問題が出題された場合にも、条文上どのように規定されているか、条文の体系上の構造を踏まえて正確に理解していれば、そうそう頭をつかうことはない出題だと思います。

ただ、平成6年度に登場以降わずかしか過去問がないことから、過去問の学習だけでは全く不十分ですね。
 
全体の条文構造を把握した上で、目的規定である1条と定義規定である2条をしっかりと理解することから始めた方が良いと思います。
 
その上で、申請に対する処分における条文の関係や、不利益処分の聴聞での当事者相互の関係などを図表作って整理していくと理解しやすいです。
 
「義務規定」なのか「努力規定」なのか、厳格な一般規定であるのか例外規定が設けられているのか、そしてその例外の範囲等について、細かく確認しながら進めて行くことが大切です。
 
特に聴聞の具体的な手続事項、手順などは、行政書士として開業した後、実際にそうした手続きに直面したときにも大丈夫なくらいまで、しっかりと理解すべきかと思います。
 
 



目的、適用除外、届出

[ 要点 ]

◆行政手続法は、処分、行政指導、届出に関する手続に関してだけ 、共通する事項を定めている。

◆地方公共団体の機関がする処分のうち、その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものについては、行政手続法の肢余分に関する手続の規定は、適用されない。

◆届出が法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合には、法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したとき、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたこととなる。




1、行政手続の目的

行政手続法は、他の法律のさだめがない限り、「処分」、「行政指導」、及び「届出」に関する手続に関し、共通する事項を定めることによって、

(1)行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう)の向上を図り、

(2)もって、国民の権利利益の保護に資すること。

をその目的としている。

行政手続法は、処分、行政指導、届出にその対象を限定しているので、行政立法などはこれに含まれない点に注意する必要がある。


2、用語の定義

行政手続法では、その対象を処分、行政指導、届出に限定しているので、これらの用語の定義が重要となってくる。

(1) 処分
行政庁の肢余分その他公権力の行使にあたる行為と定義し、行政不服審査法1条、行政事件訴訟法3条2項と、同様の定義となっている。

(2) 行政指導
行政指導とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現させるため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

簡単に言うと、行政機関のお願いこどであり、お願いをした相手方の自発的な意思に基づき協力をしてもらうといった程度のものである。

(3) 届出
届出は、行政庁に対し一定の事項を通知する行為(申請に該当するものを除く)であって、法令により直接に当該通知が義務づけられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む)をいう。

例えば、ある法律に、営業を廃止したときには廃止した旨の届出を行政庁にする旨の規定がある場合に、実際に廃止した旨を行政庁に通知する行為などをいう。

また、「自己の期待する〜通知をすべきこととれているものを含む」とは、ある事項を届け出ると、それまでに制限されていた一定の効果を発生させることができるようなものである。

また、届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることとその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとするとしている。

到達したときに届出をすべき手続上の義務が履行されたことになるということは、届出先の行政庁の事務所に物理的に到着し、了知可能な状態に置かれる時点なので、受付の受領印等の意思表示がなされる必要はないこととなる。


3、適用されないもの

行政手続法3条1項では、そこに列挙された処分又は行政指導については、行政手続法2章に規定する申請に対する処分、3章に規定する不利益処分、4章に規定する行政指導の適用を排除している。

例えば、審査請求、異議申立その他の不服申立に対する行政庁の裁決、決定その他の処分などがある。

さらに、地方自治の本旨との関係で、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る)及び行政指導並びに届出(通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る)については、上記と同様に行政手続法第2章〜4章さらに5章に規定する届出に関する規定を排除している。

なお、行政手続法38条は、上記で適用除外された事項についても、必要な措置をとるように各地方公共団体に努力義務を課している。この必要な措置とは、行政手続法の趣旨に沿った措置を講じてもらいたいというあらわれである。

この規定を受けて、自治体の特徴を踏まえて、申請に対する処分、不利益処分、行政指導、届出などについて規定する「行政手続条例」が整備されている。

適用除外事項は、さらに行政機関内部での処分についても、その性質が直接国民に向けられた行為でないことから適用除外となっている。

その他にも、「行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」に個別に適用除外の事項が規定されている。




申請に対する処分


[ 要点 ]

◆行政庁は、審査基準を定めるにあたっては、当該許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。

◆行政庁は、申請書の記載事項に不備があるなど形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、補正を求めるか又は申請により求められた許認可を拒否しなければならない。

◆行政庁は、申請により求められた許認可を拒否する処分をする場合には、原則として、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。

◆標準処理期間は、申請が行政庁の事務所に物理的に到着し、了知可能な状態に置かれた時点から進行する。

◆標準処理期間には、申請に対する補正指導の期間は含まれず、その間は標準処理期間の進行は停止するというのが通例の取り扱いとされている。




1、申請の意味

例えば、建設業の許可申請のように、「法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう」。

行政手続法においては、この申請に対する誌余分手続について、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的として、申請をする前、申請を受理した後、そして、申請に対する処分時に各種の規定を設けた。


2、申請をする前の規制

(1) 審査基準

許認可等の申請をする最には、行政庁はその審査基準(許認可をするかどうかを法令の定めに従って判断するために必要とされる基準)をなるべく具体的に定め、行政上特別の支障がある場合を除いて、審査基準を公にしておかなければならない。

(2) 標準処理期間

申請がその事務所に到達してから処分をするまでに通常要すべき標準的な処理期間を定めるように努め、これを定めた時には、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備え付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

「事務所に到達する」とは、申請が行政庁の事務所に物理的に到着し、了知可能な状態に置かれた場所をいい、受領印などの意思表示は必要ない。そして、申請が行政庁に到達する前における事前指導の期間は、本法の適用を受けない。

「処分をするまで」とは、処分に係る文書を送付するまでのことであり、申請者に対してその文書が到達するであろう期間までは想定する必要はないとされている。

標準処理期間は、申請が適法であることが前提となっているので、行政手続法7条に規定する補正期間は含まれない。

また、申請の途中での申請内容の変更のために要する期間などの申請者の都合で要した時間も含まれない。


(3) 申請に必要な情報の提供

申請を使用とする者又は申請者の求めに応じ、申請者の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努める。


3、申請を受理した後の規制

(1) 申請に対する審査・応答

申請がなされると遅滞なく審査を開始しなければならず、申請者の記載事項の不備等による形式上の要件に適合しない申請は、速やかに、申請者に対して相当の期間を定めて補正を求めるか、又は申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

(2) 申請処理情報の提供

申請者の求めに応じ、申請にかかる審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すように努める。

(3) 公聴会の開催等

申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令によって許認可等の要件となっている場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により、当該申請以外の者の意見を聴く機会を設けるように努める。

(4) 複数の行政庁が関与する場合の処分に対する対応

申請の審査をする場合に、同一の申請者が関連する申請を他の行政庁にしていて、それが審査中である場合に、他の行政庁の審査や判断の状況を伺うために審査や判断を遅延させるようなことはしてはならない。


4、申請に対する処分時の規制(理由の提示)

拒否をする場合には、申請者に対して同時に、当該拒否処分の理由を示さなくてはならない。

また、拒否処分を書面でする場合には、拒否理由も書面で示さなければならない。

ただし、すべてについて拒否理由が必要なのではなく、法令に定められた許認可の要件又は審査基準が数量的指標その他の客観的指標に明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類から明らかである場合には、申請者の請求があったときにこれを示せばよい。




不利益処分


[ 要点 ]

◆行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、原則として、聴聞又は弁明の機会の付与の手続をとらなければならない。

◆行政庁が許認可等を取り消す不利益処分をしようとする場合には、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、原則として、聴聞の手続をとらなければならない。

◆行政庁は、差し迫った必要があったために理由を示さないで不利益処分をした場合には、処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除く処分後の相当期間内に、その理由を示さなくてはならない。




1、不利益処分の意味

不利益処分とは、「行政庁が、法令基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し(作為・不作為を課すこと)、又はその権利を制限する処分をいう」。

ただし、以下の適用除外規定がある。

a、事実上の行為、(例:行政上の強制執行や即時強制)及び事実上の行為をするにあたりその範囲、時期等を明らかにするために、法令上必要とされる手続としての処分。

b、申請により求められた許認可等を拒否する処分その他の申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分。

c、名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分。名あて人とは、処分の通知書にあて名として表示されている者のことである。

d、許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの。

処分の相手方が死亡や廃業の届出をした場合には、不利益処分の手続をする必要はないので、適用除外となっている。


2、処分の基準の設定及び公表

行政庁はどのような不利益処分とするかについてその基準をできるだけ具体的に定め、かつ、これを公にしておくように努めなければならないとしている。

そして、この処分基準を定めるにあたっては、当該不利益処分の性質に照らしてできるだけ具体的なものとしなければならないとしている。

処分の基準の設定及び公表については、画一的に定めることが困難な場合もあるので、努力義務に止まっていることに注意すること。


3、不利益処分の理由の掲示

不利益処分をする場合には、名あて人に対し、同時に不利益処分の理由を示さなくてはならない。この不利益処分を書面でする場合には、その理由も書面で示さなくてはならない。

ただし、差し迫った必要がある場合には、理由を示さなくてもよいが、理由を示すことが名あて人の住所が判明しない等の困難な場合を除いて、処分後の相当期間内に、理由を示さなければならない。


4、不利益処分の種類

不利益処分をする場合には、処分の名あて人となるべき者について、意見陳述のための手続をとらなくてはならないことと定めている。

この手続は、名あて人のにとって不利益の程度の高いものについては「聴聞」、それほどでもないものについては「弁明の機会の付与」の各手続をとることとなっている。


(1) 聴聞手続をする場合

聴聞の手続とは、名あて人となるべき者に対して審理の場を設けて、口頭による意見陳述や質問などの機会を与え、名あて人と行政庁とのやりとりを行うことである。聴聞の手続を行う場合を、以下のように規定している。

a、許認可を取り消す場合。
b、名あて人の資格又は地位を剥奪する場合。
c、名あて人が法人の場合におけるその役員の解任を命ずる場合。
d、a〜c以外でも行政庁が相当と認める場合。


(2) 弁明の機会の付与をする場合

弁明の機会の付与とは、口頭ではなく、原則として書面による意見陳述を与えることである。

弁明の機会の付与をする場合とは、聴聞の手続をする場合以外のすべての不利益処分となる。

例えば、営業の停止命令などの不利益処分がこれに該当する。


5、聴聞、弁明の機会の付与の省略

緊急を要する等の場合、聴聞や弁明の機会の付与の手続を省略できる。




聴聞の手続


[ 要点 ]

◆聴聞手続において、行政庁職員に対する質問権を行使する場合には、主宰者の許可が必要である。

◆聴聞手続において、文章等の閲覧権、聴聞調書、報告書の閲覧権、陳述書の提出権、代理人の選任権を行使する場合には、主催者の許可が不要である。

◆聴聞を行うにあたって、行政手続法15条1項に規定する書面による通知を受けた代理人を選出することができる。




1、通知

聴聞を行う期日までに、名あて人となるべき者に(1)予定される不利益処分の内容・根拠法令の条項、(2)不利益処分の原因となる事実、(3)聴聞の期日・場所、(4)聴聞に関する事務を所掌する組織の名称・所在地を書面により通知(行政手続法15条)し、相手方の防御の機会を与える。

そして、聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類等を提出できることや、聴聞が終結する時までの間、当該不当利益処分の原因となっている事実を証する資料の閲覧を求めることができることの教示を行う必要もある。

名あて人となるべき者の所在が不明の場合には、上記の通知を当該行政庁の事務所の掲示板に掲示することによって行うことも可能である。

そしてこの掲示をはじめた日から2週間を経過したときに、当該名あて人にその通知が到達したものとみなす。

行政庁の監督下にある特殊法人などの役員の解任などを命じる不利益処分が行われる場合には、名あて人はその役員の所属する法人などがあるが、実質的には役員の解任処分であるので、この役員などを聴聞手続の当事者とみなす。


2、代理人

名あて人は、代理人を選任することが可能である。

代理人は聴聞に関する一切の行為ができるが、その資格を書面で証明しなければならず、また、その代理人が資格を失った場合には、書面で当該行政庁に届出なければならない。


3、文書閲覧権

聴聞の通知があった時から聴聞終結まで、不利益処分の名あて人である聴聞の当事者や当該不利益処分がなされた場合に、自己の利益を害されることとなる参加人は、不利益処分の原因となる事実を証明する文章等の閲覧権がある。

この閲覧権は、第三者の利益を害する恐れがあるときその他正当な理由が無ければ閲覧を拒むことはできない。

さらに審理の進行次第では閲覧文書の追加請求することもできる。ただし、行政庁はその閲覧の日時や場所を指定することができる。


4、主宰者による聴聞実施

主宰者とは、聴聞手続の審理を整理したり、進行させるなどの運営一切を司さどるものであり、行政庁が指名した職員(その庁の職員)その他政令で定める者がつく。

ただし、当該聴聞に関係する者は主宰することはできない(聴聞の当事者又は参加人とそれらの者の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族、代理人等)。

主宰者は必要があると認めるときは、当事者以外の者であって不利益処分について利害関係を有するものと認められる者(関係人)に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求めたり、参加許可をすることができる。

参加人も代理人を選任でき、当事者と同様の行為ができる。


5、審理の非公開

審理は行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、非公開である。


6、聴聞の審理

主宰者は行政庁の職員に対して、最初の聴聞の期日の冒頭で、予定される不利益処分の内容、根拠法令の条項、その原因となる事実を出頭した者に説明させる。

当事者又は参加者は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べたり、証拠書類等を提出したり、主宰者の許可を得て行政庁の職員に対して質問を発することができる。

この場合、主宰者の許可を得て、専門知識を持った付き添え人である補佐人を一緒に出頭させることができる。

主宰者は、聴聞の期日において必要があると認めたときには、当事者又は参加人に対して、必要に応じて質問を発し、意見陳述、証拠書類等の提出を促すことができ、行政庁の職員に対して説明を求めることができる。

なお、主宰者は当事者・参加人の一部が出頭しなくとも、審理を継続することができる。




聴聞の手続2、弁明の機会の付与


[ 要点 ]

◆聴聞の主宰者は、当事者の全部もしくは一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、かつ、行政手続法第21条第1項に規定する陳述書もしくは証拠書類等を提出しない場合、又は参加人の全部もしくは一部が聴聞の期日に出頭しない場合には、聴聞を終結することができる。

◆行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときには、聴聞を主宰する者に対し、不利益処分の原因となる事実に対する当事者同士等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる。

◆行政庁は、不利益処分の決定をするときには、聴聞調書の内容及び報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。

◆行政庁又は主宰者が不利益処分の規定に基づいてした処分については、行政不服審査法による不服申立をすることができない。

◆弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(弁明書)ほ提出してするものとする。




1、聴聞の続行

審理の結果、なお聴聞を続行する必要があるときは、新たな期日を定めることができる。

その場合には、あらかじめ出頭した当事者・参加人へはその場で告知すればいいが、その他の場合には当事者・参加人へ聴聞の期日及び場所をあらかじめ書面によりつうちしなければならない。


2、聴聞の終結

主宰者は当事者の全部もしくは一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、且つ、出頭に代わる陳述書や証拠書類等の提出もない場合、又は参加人の全部もしくは一部が聴聞の期日に出頭しない場合には、改めて意見を述べたり、証拠書類等を提出させる機会を与えずに聴聞を終結できる。


3、聴聞調書及び報告書の作成

主宰者は、審理が行われた各期日ごとに(審理が行われなかった場合には聴聞の終結後速やかに)聴聞の経過を記載した調書(聴聞調書)を作成し、陳述の要旨を明らかにしなければならない。

主宰者は、聴聞終結後速やかに不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについて意見を記載した報告書を遅滞なく作成し、聴聞調書とともに行政庁に提出しなければならない。

当事者・参加者は上記の聴聞調書及び報告書の閲覧を求めることができる。


4、聴聞の再開

行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情(新たな証拠書類等の発見があった場合など)により、必要があると認めるときには、報告書を主宰者に戻して聴聞の再開を命ずることができる。

行政庁は、聴聞を再開する必要があると認めた場合、既に主宰者から聴聞調書及び報告書が提出されていれば、それを主宰者に戻して、聴聞の再開を命ずる。


5、聴聞を経てされる不利益処分の決定

行政庁は、不利益処分を決定する場合には、主宰者の提出した聴聞調書の内容及び報告書の意見を十分に参酌(十分に考慮して程良く取りはからうこと)してこれを行わなくてはならない。


6、不服申立の制限

行政庁又は主宰者が不利益処分の聴聞手続の規定に基づいてした処分については、行政不服審査法による不服申立ができない。

また、聴聞を経てされた不利益処分については、当事者及び参加人は、行政不服審査法に基づく異議申立はできない。ただし、相手方が不在の場合に行政庁の事務所への掲示により通知が行われた場合でそれ以降の聴聞の期日にいずれも出頭したことがないその当事者については、異議申立が可能である。

なお、行政事件訴訟法に基づく処分の取消の訴えはできるので注意。


7、弁明の機会の付与

(1) 方式

行政庁が口頭ですることを認めた場合を除いて、弁明を記載した書面(弁明書)を提出してする。またこの場合には、証拠書類等を提出することができる。

(2) 通知の方式

行政庁は、弁明書の提出期限(口頭による場合にはその日時)までに相当な期間をおいて、名あて人となるべき者に、予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項、不利益処分となる事実、弁明書の提出先及び提出期限(口頭による場合には、その旨並びに出頭すべき日時及び場所)の事項を書面により通知しなければならない。

(3) 聴聞の関する手続の準用

聴聞に関する手続の中で、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合の取り扱いと代理人に関する規定のみを準用する。

したがって、利害関係人の参加、文書閲覧請求、調書及び報告書の参酌義務、不服申立の制限、などは準用されていない。




行政指導


[ 要点 ]

◆行政指導とは、行政機関が一定の行政目的実現のため、特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

◆行政指導は、法律の根拠を必ずしも必要としない。

◆行政指導には、是正又は統制のための規制的指導も認められる。

◆行政指導に携わる者は、その相手方にたいして、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。

◆行政指導によって損害を被った相手方は、国家賠償法第1条による損害賠償の請求を行い得る場合がある。

◆同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対して行政指導をしようとするときには、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項を定め、且つ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。




● 行政指導

・ 意味
行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において、一定の行政目的を実現するために、特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言、その他の行為であって処分に該当しないもの。

・ 種類
規制的、助成的、調整的行政指導の3つ。

・ 申請に関連する行政指導
申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにも関わらず、当該行政指導を継続すること等によって申請者の権利の行使を妨げることをしてはならない。

・ 許認可等の権限に関連する行政指導
権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合において行政指導をする場合には、行政指導に携わる者は、当該行政指導に従えば許認可してもいいような旨を殊更に示すことはしてはならない。

・ 方式
1、その行政指導の趣旨。 2、内容。 3、その責任者を明確に示さなければならない。

・ 複数の者を対象とする行政指導を行う場合の定め
同一の行政目的を実現するために一定の条件に該当する複数の者に対して行政指導を行おうとするときには、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項を定め、且つ行政上特別の支障が無い限り、これを公表しなければならない。

・ 行政指導に対する救済
1、取消訴訟・行政不服申立は対象とならない。
2、国家賠償法は対象となる場合がある。


1、行政指導の意味


行政指導とは、「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において、一定の行政目的を実現するために、特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう」と規定し、処分(=行政行為)ではない非権力的な行為であることを規定している。

行政指導は非権力的行為であるので、法律の根拠は必ずしも必要としない。

また、行政手続法32条においては、1、行政指導を行う場合には、その任務や事務範囲を逸脱してはならないこと、2、行政指導は相手方の任意の協力によってのみ実現されること。3、行政指導に相手方が従わないことを理由として不利益な扱いはしてはならないことという3つの一般原則を規定している。


2、行政指導の種類

どのような分類ができるかについては、行政手続法は規定しているわけではないが、1、規制的行政指導(法律に規定する事項よりも、厳しい建築基準の要請など)、2、助成的行政指導(税務・労務相談など)、3、調整的行政指導(建設業者と周辺住民の紛争の調製など)の3つの類型があるといわれている。


3、申請に関連する行政指導

申請の取り下げ又は内容の変更を求める行政指導をする場合には、その行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにも関わらず、当該行政指導を継続すること等によって申請者の権利の行使を妨げることをしてはならない。


4、許認可等の権限に関連する行政指導

許認可等をする権限やそれに基づく処分をできる行政機関が、許認可等を行使できない場合や、行使する意思がない場合において行政指導をする場合には、行政指導に携わる者は、当該行政指導に従えば許認可等してもいいような旨をことさらに示すことはしてはならないとしている。


5、行政指導の方式

行政指導はもさまざまな形式で行われているので、混乱を招かないように以下のような一定の方式を規定した。

(1) 適正手続の保障の原則

行政指導に携わる者は、その相手方に対して、1、その行政指導の趣旨、2、内容、3、その責任者を明確に示さなくてはならない。

(2) 書面化義務及びその免除

行政指導を口頭で行った場合、その相手方から(1)の事項を記載した書面の交付を求められたら、行政上の特別な支障が無い限り、これを交付しなければならない。

ただし、書面を請求する意味の乏しい以下については、書面を交付する必要はない。

1、相手方にその場において完了する行為を求めるもの。
例えば、緊急に対処する必要があるので、その場で行わなくては意味のないものがこれにあたる。

2、既に書面によりその相手方に通知している事項と同じ内容を求めるもの。例えば、いったん書面で行政指導の趣旨及び内容等を明らかにして場合がこれにあたる。


6、複数の者を対象とする行政指導を行う場合の定め

同一の行政目的を実現させるために一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときには、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならないとしている。

例えば、ある業界団体の構成員に対して行政指導する場合に、複数の者に対して行政指導がなされた場合に平等に取り扱いをするという意味から、他の者にはどのような行政指導がなされているかを明確にするために、その内容を公開するようにとしたものである。


7、行政指導に対する救済

取消訴訟の提起や行政不服申立は、行政指導にそもそも処分性がないということで、できない。国家賠償請求については、国家賠償法1条の適用範囲が非権力行為などを広く含めた行政活動を救済対象としていることからできることとなっている。
TABLE OF CONTENTS

基礎法学
  法規範
  法の分類
  法の効力
  近代私法の
  基本原則
  自由と制約
  法の解釈
  法令用語

行政書士法
  業務 資格 
  登録 遵守義務
  行政書士会
・連合会
  監督機関 罰則
  総合
憲法
  前文 改正
  最高法規
  国民の権利及
び義務
  国会 内閣 
  司法
 天皇
  財政 地方自治
  総合
  講学概念

地方自治
  事務分類 
  直接請求
  条例及び規則 
  議会
  執行機関 監査
  財務 公の施設 
  地縁団体
 特別地方公共団体

行政法
  行政組織 公物  
  行政立法
  行政行為の種類
  行政行為の附款
  行政行為の瑕疵
  行政行為の取消・撤回
  行政強制 
  行政罰
 
  行政代執行

行政不服審査法
  総合 総則
  手続

行政事件訴訟法
  類型 取消訴訟
  事情判決
  訴えの利益
 
  総合

行政手続法
  総合 
  標準処理期間
  聴聞手続 
  行政指導

国家賠償法
  国家賠償法1条
  国家賠償法2条
  国家賠償法総合
  損失補償



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