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目的、類型
[ 要点 ]
◆行政事件訴訟法において、行政事件訴訟として、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟の4種類が定められている。
◆行政事件訴訟法に規定している以外の抗告訴訟(無名抗告訴訟)も認められる。
◆当事者訴訟とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する訴訟をいう。
◆民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資質その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。
行政事件訴訟法は、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟に分類される。
1、抗告訴訟
抗告訴訟とは、行政庁の公権力にかかる作為又は不作為によって権利や利益を侵害された者が、その行為の適否を争う訴訟である。
抗告訴訟はさらに、4つに分類される。またその中で前者の2つを総称して取消訴訟という。
(1) 処分の取消の訴え
行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為の取消を求める訴訟である。
(2) 裁決の取消の訴え
審査請求、異議申立その他の不服申立に対する行政庁の裁決、決定その他法令で定める特別の不服申立の応答行為の取消を求める訴訟である。
(3) 無効等確認の訴え
処分もしくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟である。例えば、課税処分の無効確認訴訟がある。
無効等確認の訴えの原告適格(訴訟を起こせる人)は、処分や裁決に続く処分によって損害を受ける恐れのある者又は法律上の利益を有する者で、当該処分もしくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達成することができない者に限られる。
なお、出訴期間に制限がない。
(4) 不作為の違法確認の訴え
行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきにもかかわらず、これをしないことについて違法の確認を求める訴訟である。たとえば、建築確認を申請したにも関わらず建築確認がなされない場合の確認訴訟がある。
この原告適格は、処分又は裁決についての申請をした者に限り提起することができる。
なお、出訴期間には制限はない。
また、行政事件訴訟法には規定がないが、判例において国民の権利救済に必要な際に認められる訴訟として、「無名抗告訴訟」が認められている。
無名抗告訴訟とは、どのような形態がみとめられるかについては、争いがあるところであるが、判例は、一定の処分を命じることを義務づける「義務づけ訴訟」や、行政庁が公権力を発動しないことを求める「予防的差止訴訟」などについて、その存在の可能性を認めている。
2、当事者訴訟
当事者訴訟とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する誌余分又は裁決に関する処分に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の一方を被告とする訴訟(当事者間の法律関係を争う訴訟でありながら、実質的には公権力の行使について争うので「形式的当事者訴訟」という)と、公法上の法律関係に関する訴訟(公法上の権利について主張するので、「実質的当事者訴訟」という)の総称である。
形式的当事者訴訟の例として、土地収用法に基づく損失補償額の争いの訴え、特許無効審判を争う訴えがある。実質的当事者訴訟の例として、公務員の給与支払請求訴訟がある。
3、民衆訴訟
民衆訴訟とは、国や公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求めるものであり、選挙人たる資格その他の自己の法律上の利益に関わらない資格で提起するものである。例えば、選挙の当選訴訟や、地方自治法に規定する住民訴訟がある。
4、機関訴訟
国又は公共団体の機関相互の間の権限等につき疑義又は争いが生じた場合、特に必要があるときに法律の規定に基づき行われる訴訟をいう。例えば、普通地方公共団体の長と議会との争いなどがある。
なお、この客観訴訟(民衆訴訟及び機関訴訟)の原告適格は、法律に定めがある者に限られる。
5、行政事件訴訟法に定めがない事項について
行政事件訴訟法に定めがない事項については、民衆訴訟の例による。
取消訴訟の内容
[ 要点 ]
◆取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から3ヶ月以内に提起しなければならない。
◆取消訴訟は、処分又は裁決の日から1年を経過した時には、正当な理由がある場合を除き、提起することができない。
◆審査請求を棄却する裁決を受けた者が、さらに訴訟を提起して原処分に内在する違法を主張しようとする場合には、法令に特別の定めがある場合を除き、裁決の取消の訴えではなく、処分の取消の訴えによらなければならない。
◆処分の取消の訴えは、審査請求に対する裁決を経て提起することが法律で定められている場合であっても、審査請求があった日から3ヶ月を経過しても裁決がないときには提起することができる。
1、処分の取消の訴え
(1) 処分の意味
処分とは、行政行為と考えればいい。ただし、行政行為の中でも、審査請求に対する裁決、異議申立に対する決定、その他の行政不服審査法に規定されている以外の不服申立に対する裁決のような応答行為は、これらには含まれないとされている。それは、裁決の取消の訴えが別途規定されているからである。
その他公権力の行使に当たる行為とは、行政不服審査法2条1項に規定されている、「公権力の行使に当たる事実行為で継続的性質を有するもの」などが含まれている。
処分の取消の訴えの例として、課税処分の取消訴訟が該当する。
(2) 原告適格
処分取消の訴えは、処分の取消を求めるにつき、「法律上の利益」を有するものは原告となれる。したがって、誌余分の相手方に限られない。
(3) 出訴期間
出訴期間については、原則として、処分があったことを知った日から3ヶ月以内に提起しなければならない。また、処分の日から1年を経過したときには、当該訴えを正当な理由がない限り提起できなくなる。
(4) 処分の取消の訴えと審査請求の関係
処分の取消の訴えは、原則として、法令の規定により審査請求ができる場合でも、ただちに提起することができる。
ただし、法律に審査請求に対する裁決を経た後でなければ、処分の取消の訴えを提起できない旨の定めがあるときにはこの限りではない。この例外のことを、「審査請求前置主義」という。
なお、審査請求前置主義が採られている場合でも、審査請求のあつた日から3ヶ月を経過しても裁決がないときには、処分、処分の執行又は手続きの続行により生ずる著しい損害を避けるために緊急の必要がある場合に、その他の裁決を経ないことにつき正当な理由がある場合には、裁決を経なくても処分の取消の訴えを提起できる。
また、処分の取消の訴えを起こす前に、審査請求が別途されているときは、裁決があるまで(審査請求があった日から3ヶ月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)その訴訟手続きを中止することができる。
2、裁決の取消の訴え
裁決の取消の訴えでは、原処分の違法は争うことができず、手続き上の違法その他の裁決固有の違法(裁決の権限、手段、形式の瑕疵など)のみ争うことになり、原処分の違法については、別途処分の取消の訴えで争うのが原則となっている。このことを、「原処分主義」という。
原処分主義がなぜ採られたかというと、行政事件訴訟法が制定される前の「行政事件訴訟特例法」においては、処分の取消の訴えと裁決の取消の訴えとの調整について何ら規定しなかったため、処分の取消の訴えにおいても原処分の違法を主張してしまうことがあり、別々の裁判所において同一事由で別々の判断がなされることもあることが危惧されていたためである。
なお、この例外として、特別法の中には、原処分に対しては出訴できず、裁判だけについて出訴できるというものもある。これを、「裁決主義」という。この場合には原処分の違法性についても裁決の取消の訴えで争うことになる。
裁決の取消の訴えができるのは、処分の取消と同様に、「法律上の利益」を有する者が原告適格を有する。
出訴期間についても、処分の取消の訴えと同様の制限がある。
取消訴訟の提起
[ 要点 ]
◆取消訴訟は、処分又は裁決の取消を求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
◆原則として、処分の取消の訴えは、処分した行政庁を、裁決の取消の訴えは裁決をした行政庁を被告として提起しなければならない。
◆原則として、行政庁を被告とする取消訴訟は、その行政庁の所在地の裁判所の管轄に属する。
● 原告適格が認められたもの、認められなかったものの例
☆ 認められたもの
・空港の許可を争うその空港の騒音に悩む周辺住民
最判平成元年2月17日
・原子炉の設置許可を争う周辺住民
最判平成4年9月22日
・公衆浴場の許可を争う既存業者
最判昭和37年1月19日
☆ 認められなかったもの
・町名の変更を争う住民
最判昭和48年1月19日
・鉄道の特急料金の許可を争う周辺住民
最判平成元年4月13日
・質屋の新規営業の許可を争う既存業者
最判昭和34年8月18日
● 狭義の訴えの利益が認められたもの、認められなかったものの例
☆ 認められたもの。
・免職処分を受けた公務員がそれを争う間に、公職に立候補したり、死亡した場合の訴えの利益
最大判昭和40年4月28日
・運転免許証の取消処分を争っている間に、その免許の有効期限が切れてしまった場合の訴えの利益。
最判昭和40年8月2日
☆ 認められなかったもの
・建築確認処分の取消訴訟をしている間に、当該建物の工事が完了してしまった場合の訴えの利益。
最判昭和59年10月26日
・生活保護の受給権を争っている間に、原告が死亡してしまった場合の相続人の訴えの利益。
最大判昭和42年5月24日
・特定日の公園使用許可の拒否処分を争っている間に、その特定日が経過してしまった場合の訴えの利益。
最大判昭和28年12月23日
取消訴訟の提起
1、取消訴訟を提起するための要件
取消訴訟は無条件に認められているわけではない。「出訴期間内に提起されること」、「審査請求前置主義が採られている場合に審査請求を経て訴訟を提起しているか」という要件の他に、処分性、訴えの利益、管轄、一定の要件を満たした訴状が提出されたかという要件を満たさなければならない。
2、処分性があるかどうか。
前号を参考にして下さい。
3、訴えの利益
訴えの利益は、大きく2つに分けることができます。1つ目は、原告適格(「法律上の利益があるか」に該当するか。)であり、2つ目は、狭義の訴えの利益(「回復すべき法律上の利益」に該当するか)である。
(1) 原告適格
処分性が認められた場合に、取消訴訟を出訴することができる資格のことで、「法律上の利益を有する者」であるか判断しなければならない。判例では、法律上保護に値する利益では足りず、法律上保護された利益でなければならないとしている。
具体的には、公衆浴場法に基づく許可制度の適正な運用によって保護される既存業者の営業上の利益は、同法によって保護される法的利益であるから、既存業者は新規業者に対する許可の取消を求める訴えの利益を有するというものがある。
法律上保護された利益の判断は、「適正な許可制度の運用によって保護されるべき業者の営業上の利益は、単なる事実上の反射的利益というにとどまらず、公衆浴場法によって保護される法的利益を解するを相当とする。」とした。
ここで問題なのは、既存業者の営業の利益が法的に保護されるべき法的利益なのか、それとも公衆浴場法が国民の保健や環境衛生だけを考えて作られた法律なので、既存業者の営業の利益は単なる反射的利益にすぎないのかという判断が、設問の事例からは読みとることができないことである。
試験対策としては、判例の結論を覚えることしかなくなることになりますね。前号での確認をお願いします。
(2) 狭義の訴えの利益
処分性と原告適格を除いた訴えの利益のことをいう。これは、当該処分が有効な場合にその法的効果を取り去ってしまうことにより、訴える者の法的利益が回復されるかどうかという観点から検討されるものである。
言い換えると、処分などがなされてある程度の時間が経過しているが、まだ訴訟をして争う必要があるのかということを判断させるためのものである。
この狭義の訴えの利益が認められた判例として、免職された公務員が、その取消訴訟の係争中に公職の立候補者として届出をしたために、法律上その職を辞した者としてみなされるに至っても、違法な免職処分さえなければ公務員として有するはずであった給料請求権その他の権利、利益を回復することができるので、広く訴えの利益を認めるべきである、というものがある。
逆に、認められなかった判例として、建築確認の取消を求めている間に、建築工事が終わってしまったのだから、もう建築確認の取消を求める訴えの利益は失われるというものがある。
4、被告適格
処分の取消の訴えは、処分をした行政庁を、裁決の取消の訴えは、裁決をした行政庁を被告として提起しなければならない。ただし、処分又は裁決があった後にその行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、その承継された行政庁に対して提起しなければならない。
また、被告となるべき行政庁がない場合には、その処分又は裁決にかかる事務の帰属する国又は公共団体(行政主体)を被告として提起しなければならない。
5、管轄
行政庁を被告とする取消訴訟は、原則として、その行政庁の所在地の裁判所の管轄に属することになる。
6、一定の要件を満たした訴状が提出されたかどうか。
訴状の要件については、民事訴訟法に規定されている。行政事件訴訟法7条
取消訴訟の手続き
[ 要点 ]
◆取消訴訟のおいて、処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有するので、訴訟の結果により権利を害される第三者については、訴訟参加の制度が設けられている。
◆取消訴訟には、関連請求にかかる訴えを併合することができる。
◆行政庁の処分その他の権力の行使にあたる行為については、民事 保全法に規定する仮処分をすることができない。
◆執行停止の申立があったときは、内閣総理大臣は、裁判所に対し、執行停止の決定前あるいは後に、異議を述べることができる。
◆処分の取消訴訟が確定すると、当該処分の効力は、行政庁が取り消すまでもなく遡及的に消滅し、初めから当該処分が行われなかったときと同様の状態となる。
1、取消訴訟の審理の手続き
訴訟要件の審理が終わると、今度は本案審理といって、具体的内容の審理に入る。ここでは、当該処分は違法なのかどうかについて審理し、違法となった場合には、その処分を取り消すかどうかを審理する。
最終的に取消が認められると、「認容判決」が出される。また、違法と宣言しつつも取り消さない「事情判決」がなされる場合もある。
行政不服申立の手続きとは異なり、取消訴訟の審理は、口頭弁論主義を採っている。ただし、行政不服申立のように「職権探知」まではできず、例外的に当事者が提出した証拠だけでは十分の心証を得られない場合に限り、「職権証拠調べ」ができるにすぎない。
また、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときには、申立又は職権でその第三者を訴訟に参加させることができ、他の行政庁も必要な場合に申立又は職権により参加させることができる。
その他に取消訴訟については、同じ原告から同じ被告に数個関連した訴えがなされている場合には、その訴えを併合することもできる。
2、仮処分の排除
行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分(訴訟の対象となる処分を仮に差し止めてしまう)をすることができない。
3、執行不停止の原則と内閣総理大臣の異議
(1) 執行不停止の原則
行政事件訴訟法も行政の安定のために行政不服申立制度と同様に、「執行不停止」が原則とされている。
例外的に執行停止にされる場合の要件は、次のようになっている。
・ 適法に訴訟が提起されていること。執行停止の申立をするには、そもそもその前提となる本体の取消訴訟等が適法に提起されていないと意味がないためである。
・ 回復困難な損害を避けるために緊急の必要があること。例えば、現状回復が難しいものや、金銭による賠償が不可能な場合をいう。
・ 処分の効力が存在しているので、それを停止することによって現実に権利の保全が図られること。例えば、不許可処分や拒否処分などは、たとえ執行停止をしたとしても、あとで当該処分が覆されるわけではないので、執行を停止する意味がない。
・ 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないこと。公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるかないかについての判断は、原告の予想される被害と執行停止による損害との比較して行われる。
・ 本件について理由がないとみえるときでないこと。どうみても原告が勝訴する見込みがないというわけではないことである。
以上の要件をすべて満たすと、裁判所は「執行停止」することができる。
(2) 内閣総理大臣の異議
例外的に執行停止が認められても、その執行停止の決定を執行してしまう制度もあり、これを「内閣総理大臣の異議」という。
この制度は、行政目的上「やむを得ない場合に限り」内閣総理大臣は、執行停止の決定の前あるいは後に、異議を述べることができ、この異議が述べられてしまうと、裁判所は有無をいわず執行停止の前であれば却下するか、後であれば取り消さなくてはならないというものである。
4、判決とその効力
(1) 判決の種類
判決は却下判決(不適法なため、門前払い)、請求棄却判決(審理の結果、処分に違法事由なしとしてこれを退ける)、請求容認判決(審理の結果、処分に違法事由ありとしてそのょぶん又は裁決の一部又は全部を取り消す)、事情判決(判決又は裁決は違法であるか、これを取り消すことによって、公の利益に著しい障害を及ぼす場合に請求を棄却する)がある。
(2) 判決の効力
判決が出されると、形成力、対世力、既判力、拘束力、という効力が生じる。
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