[ 要点 ]
◆公定力とは、違法の行政効力も、当然向こうの場合は別として、正当な権限を有する機関による取消しのあるまでは一応適法の推定をうけ、相手方はもちろん第三者、他の国家機関もその行政行為の無効を無視することができない力をいう。
◆自己執行力(執行力)とは、行政行為によって命ぜられた義務を相手方が履行しない場合に、行政庁が、裁判において判決を得ることなく、自らの判断で義務者に対し強制執行をすることができる効力をいう。
◆不可抗力(形式的確定力)とは、法定の行政不服審査法に基づく不服申し立て期間は行政事件訴訟法に基づく出訴期間の経過後は、もはや当該行政行為の効力を私人が争うことができなくなる効力をいう。
◆不可変更力(実質的確定力)とは、不服申立に対する裁決又は決定などの一定の行政行為にのみ認められる行為で、行政行為を行った行政庁が自ら一度行った行為を取り消すことができない効力をいう。
◆附款は、法律行為的行政行為にのみ付することができ、準法律行為的行政行為には付することができない。
◆附款が違法として取り消された場合は又は無効である場合において、当該附款が行政行為の重要な要素であるときは、当該行政行為も無効になる。
●行政行為の効力
・ 拘束力、公定力…相手方、行政庁、第三者…対象は行政行為すべて
・ 自力執行力、不可争力…相手方…対象は特定している、行政行為すべて
・ 不可変更力…行政庁…特定している
●行政行為の附款
【条件】
・ 停止条件…条件の成就により、行政行為の効力が発生する
例…道路が舗装さけることを条件に、バス事業の免許をする。
・ 解除条件…条件の成就により、行政行為の効力を失う。
例…2ヶ月以内に工事に着工しなければ、付与した免許は失効することを条件に、免許を付与する。
【期限】
・ 始期…ある事実の発生により、行政行為の効力が生ずる
例…1月1日から道路の通行を許可する。
・ 終期…ある事実の発生により、行政行為の効力が消滅する。
例…12月31日まで道路の通行を許可する。
【負担】
行政行為の主たる意思表示に付随して、相手方に対して特別の義務を付与する。
例…道路の占有許可をする際に、占有料の支払いを命ずる。
【撤回権(取消権)の留保】
行政行為の主たる意思表示に付加して、特定の場合に行政行為を撤回(取消)とうる権利を留保する。
例…営業を許可するに際して、相手方が一定の違反行為をした場合には、許可を取り消す旨の付記をする。
【法律効果の一部】
法令が一般に付している効果の発生を、一部に限り除外することとする。
例…公務員に出張を命じて、その旅費を支給しない。
行政行為の効力と附款
1、行政行為の効力
行政行為は、行政庁が一方的に国民の権利、義務を決定するために、以下のような効力が生じる。
(1) 拘束力
行政行為が相手方に告知されて事実として存在すると、相手方だけでなく行政庁や一般第三者もその行政行為の内容の適否に関わらず、その外形的存在を形式的に承認しなければならないという効力である。
(2) 公定力
行政行為が相手方に告知されて事実として存在すると、違法な行政行為であっても、当然無効の場合は別として、正当な権限のある機関が取り消さなければ、適法の推定を受けて、相手方、一般第三者、さらに国家機関までも適法・有効として従わなければならない効力をいう。
(3) 不可抗力(形式的確定力)
行政行為については行政不服審査法に定める不服申立期間や行政事件訴訟法に定める出訴期間が経過すると、たとえ、違法・不当な行政行為であっても、当該行政行為の効力を争うことができなくなる効力をいう。
なお、この効力は、行政行為の相手方だけをその対象としているので、例えば、行政事件訴訟法に定める出訴期間を経過した後でも、行政庁は当該行政行為を職権で取り消すことは可能である。
(4) 不可変更力(実質的確定力)
行政行為を行った行政庁などの権限のある機関が、不服申立などの一定の厳格な手段によってなした判断については、その機関による自由な取消や撤回を禁止し、制限するという効力である。
ただし、これはあくまでも例外なので、原則として行政庁は、行政行為の撤回や取消は自由に行われる。
(5) 自力執行力
行政庁が、裁判所の力を借りずに、行政行為の内容を自分の力で、実現する行為をいう。
ただし、自力執行力はすべての行政行為に認められるわけではなく、法律で明確にこの効力が認められているものに限られる。
例えば、税金の強制徴収などがこれに該当する。
2、行政行為の附款
(1) 行政行為の附款の意味
行政行為の附款とは、行政行為の効果を制限したり、特別な義務を課すために、主たる意思表示に付加させる従いたる意思表示をいう。
附款を付すことができるのは、意思表示を要素とする法律行為的行政行為にのみ付することができ、確認や公証などの準法律行為的行政行為には付することができない。
(2) 附款を付することができる場合
どんな行政行為にも自由に附款を付せるのではなく、法令が附款を付することができる旨を明示しているか、行政行為の内容について行政庁に裁量が認められている場合にはその範囲内で付することができる。
(3) 附款の限界
附款が付せるにしても無制限に付せるわけではなく、法律の定める公益目的の範囲内であって、かつ、必要最低限のものでなければならない。もしこの限度を越えた附款が付された場合には、違法となる。
(4) 附款が違法・無効の場合
附款が違法であるとし取消された場合又は無効である場合において、当該附款が行政行為の重要な要素である場合には、本体である行政行為も無効となる。
逆に、重要な要素となっていない場合には、附款だけの取消を求めて訴訟を提起することも可能であるが、その場合でも附款と本体の行政行為が不可分一体の関係がある場合には、附款のみの取消を求めることはできない。
(5) 附款の種類
附款は、条件(停止条件と解除条件)、期限(始期と終期)、負担、撤回権(取消権)の留保、法律効果の一部除外の5種類がある。
行政行為の瑕疵
[ 要点 ]
◆行政庁たる公務員が極度の泥酔状態や強度の強迫状態など、まったく意思のない状態で行った行政行為は、無効であるが、錯誤による行政行為は、当然には無効にならない。
◆内容が不明確な行政行為は、無効な行政行為である。
◆違法行為の転換とは、行政処分が処分行政庁の意図した行政処分としては法定要件を満たさず違法であるにも関わらず、これを他種の行政処分とみればその法定要件が満たされており適法と考えられる場合に、これを取り消すことなく、その効力を維持するような取り扱いのことをいう。
◆瑕疵の治癒とは、行政行為に軽微な瑕疵がある場合に、処分庁が当該行政行為を補正することにより、その効力を維持することをいう。
◆違法性の承継とは、相結合してひとつの効果の実現を目指して相連続する行政行為が行われる場合に、先行する行政行為が違法ならば、後行の行政行為は瑕疵がなくとも違法となり、後行の行政行為の違法の理由として先行する行政行為の違法性を主張できるというものである。
1、瑕疵ある行政行為
瑕疵とはキズがあるという意味で、法令に違反する行為であるとか公益に違反する行為のことである。
このキズの度合いも同じではなく、「取り消しうる」ものと、「無効」なものとに場合わけされている。
取消とは、一応有効にしておいて後で無いことにする場合で、無効とは、取消よりも程度が悪いもので最初から無いモノとして扱うことである。
上記の明確な区分は条文には存在せず、もっぱら判例により判断されている。
判例では、行成行為に内在する瑕疵が重大な法規違反であり、かつ、瑕疵の存在が外観上明白であることの2つの要件を必要としている。すなわち、「重大かつ明白な瑕疵」がある行政行為が「無効な行政行為」であるとしている。
逆に、「取り消しうる行政行為」は、上記以外の瑕疵を有する行政行為をいうこととなる。
2、無効と取消を区分する意味
無効と取消を区分しなければならない意味は、その効力を争う際の方法の違いにある。
無効も取消も違法であるので、行政事件訴訟を提起することが可能となるが、無効の場合には、無効等確認訴訟、取消の場合には取消訴訟という別の訴訟類型を選択することとなる。
この無効等確認訴訟と取消訴訟の違いは出訴期間にある。無効の場合には最初からないわけなので、確認をするだけの手続きとなり出訴期間に制限はない。それに対して取消訴訟は処分があったことを知ってから6ヶ月以内(又は処分の日から1年以内)に訴えなければならないという制限があるからである。
3、違法行為の転換・瑕疵の治癒・違法性の承継
行政行為が行われる前提は、公益のために行われることにある。一度行政行為が行われた場合には、当事者以外にも利害関係を有する多数の人たちとの関わり合いもあるので、なるべくそれを維持していくほうが望ましい。そこで、以下のような考え方が取られる場合がある。
(1) 違法(無効・取消)行為の転換
行政行為が、行政行為をした行政庁の意図した行政行為としては法定要件を満たさず違法であるにも関わらず、これを他種の行政行為としてみれば、その法定要件が満たされており適法と考えられる場合には、これを取り消すことなく、その効力を維持するような取り扱いをいう。
例えば、固定資産税の納税通知書が死者に対して発せられた場合に、この通知書が相続人に対する効力として維持されるようなことがある。
(2) 瑕疵の治癒
行政行為に軽微な瑕疵がある場合に、行政行為をした行政庁が、この行政行為を補正することにより、その効力を維持することをいう。
すなわち、瑕疵がある処分だが軽微なものなので、取り消してしまうよりは法的安定性を重視して、適法であると見なそうという考え方である。
(3) 違法性の承継
相結合してひとつの効果の実現を目指して相連続する行政行為が行われる場合に、先行する行政行為が違法ならば、後行の行政行為は瑕疵がなくても違法となるという考え方である。
例えば、農地買収計画と農地買収処分の関係が考えられる。
いずれにしても以上の3点の考え方は、不測の損害が生じる恐れがあるので、慎重な適用が必要である。判例では、この考え方を採用するもの、しないものにわかれている。 |
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