「民法の一部を改正する法律」についての概要について
1 総説
第161回国会(臨時会)において、民法の一部を改正する法律が成立しました(平成16年11月25日可決成立、平成16年12月1日公布)。
この法律は、保証契約の内容の適正化の観点から、保証人の保護を図るため、貸金等根保証契約について極度額、元本確定期日等に関する規定を新設することその他の保証債務に関する規定の整備をするとともに、民法を国民に理解しやすいものとするため、その表記を現代用語化する等の措置を講じています。
2 保証債務に関する規定の整備
(1)保証契約の方式
保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じないものとされることになりました(第446条第2項関係)。
もっとも、保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなされます(第446条第3項関係)。
(2)貸金等根保証契約の保証人の責任等
ア.貸金等根保証契約(保証人が個人である根保証契約であって、その主たる債務の範囲に貸金等債務(金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務をいいます。)が含まれるものをいいます。以下同じ。)の保証人は、主たる債務の元本、利息、違約金、損害賠償等について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う旨の規定が設けられました(第465条の2第1項関係)。
イ.貸金等根保証契約は、上記アの極度額を定めなければ、その効力を生じないものとされました(第465条の2第2項関係)。
ウ.前期(1)の保障契約の方式に関する規定は、貸金等根保証契約における上記アの極度額の定めについて準用されます(第465条の2第3項関係)。
(3)貸金等根保証契約の元本確定期日
ア.貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがある場合、その元本確定期日がその貸金等根保証契約の締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じないものとされます(第465条の3第1項関係)。
イ.貸金等根保障契約において元本確定期日の定めがない場合(アにより元本確定期日の定めがその効力を生じない場合を含みます。)には、その元本確定期日は、その貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日とするものとされます(第465条の3第2項関係)。
ウ.貸金等根保証契約における元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日がその変更をした日から5年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は、その効力を生じないものとされます。
ただし、元本確定期日の前2箇月以内に元本確定期日の変更をする場合において、変更後の元本確定期日が変更前の元本確定期日から5年以内の日となるときは、この限りではありません(第465条の3第3項関係)。
エ.前期(1)の保証契約の方式に関する規定は、貸金等根保証契約における元本確定期日の定めおよびその変更(その貸金等根保証契約の締結の日から3年以内の日を元本確定期日とする旨の定め及び元本確定期日より前の日を変更後の元本確定期日とする変更を除きます。)について準用されます(第465条の3第4項関係)。
(4)貸金等根保証契約の元本の確定事由
ア)債権者が主たる債務者若しくは保証人の財産について金銭の支払を目的とする債権についての強制執行若しくは担保権の実行を申し立てた場合(強制執行若しくは担保権の実行の手続の開始があった場合に限ります。)、
イ)主たる債務者若しくは保証人が破産手続開始の決定を受けた場合又はウ)主たる債務者若しくは保証人が死亡した場合には、貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、確定するものとされます(第465条の4関係)。
(5)保証人が法人である貸金等債務の根保証契約の求償権保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれるものにおいて、前期(2)アの極度額の定めがないとき、元本確定期日の定めがないとき、又は元本確定期日の定めもしくはその変更が上記(3)ア若しくはウの規定を適用するとすればその効力を生じないものであるときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権についての保証契約(保証人が法人であるものを除きます。)は、その効力を生じないものとされています(第465条の5関係)。
3 表記の現代用語化等
この法律は、第一編(総則)、第二編(物権)及び第三編(債権)について、その表記を平仮名・口語体に改め、用語を平易なものに改める等の標記の現代用語化を行っています。
これとともに、第四編(親族)及び第五編(相続)を含む民法の全条文について、条見出し及び項番号を付し、表記の統一を図る等の整備をしています(第1条から第1044条まで関係)。
4 その他
本法律とは別に、債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律についても改正がなされ、法人が動産を譲渡した場合、当該動産の譲渡につき動産譲渡登記ファイルに動産譲渡登記がされたときは、当該動産について、民法第178条の引渡しがあったものとみなす旨の規定(同法第3条第1項関係)や、法人が債務者不特定の将来債権を譲渡した場合においても、当該債権の債務者以外の第三者については、民法第467条の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなす旨の規定(第4条第1項関係)などが設けられました。