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今の時点で何問正解できますか?


出題形式はばらばらですが、必須問題ばかりです。
間違えたり分からなかった場合は、すぐに解答・解説を読み、理解を深めて下さい。


※なお、出題された年代により現行の法令とは食い違う点があるかもしれません。その際はお知らせ下さい。
こちらまで >>




行政書士法

「問」 次の文章の空欄にもっとも適当な語句を【(1)】(4字)、【(2)】(4字)に記入しなさい。


行政書士が登録の任意的抹消を受けた場合には、行政不服審査法による【(1)】を【(2)】に対し請求できる。
 



 
「解答」  【(1)】 審査請求 【(2)】総務大臣


・ 2年以上業務を行わない
・ 心身の故障の為、業務を行うことができない

※総務大臣への審査請求のパターン、登録の拒否、登録の取消し、登録の任意的抹消を受けた場合には、行政不服審査法による審査請求を総務大臣に対し請求できます。

また、登録申請をした日から3ヵ月を経過しても、日本行政書士会連合会から何の処分もなされない場合も、登録を拒否されたものとして審査請求をすることができます。
 
 
 
 

八幡製鉄事件

「問」 次の文章は、ある最高裁判所の判旨である。最も適当な語句を(1)に5字、(2)に3字に記入しなさい。


憲法第三章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、【(1)】にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、【(2)】たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有する。

 


「解答」 (1)内国の法人 (2)自然人 
 

超!有名判例『八幡製鉄事件』です。

■ 八幡製鉄事件とは。(人権の享有主体・法人)

判例 S45.06.24 大法廷・判決 昭和41(オ)444 取締役の責任追及請求(民集第24巻6号625頁)

【判示事項】
一、政治資金の寄附と会社の権利能力

二、会社の政党に対する政治資金の寄附の自由と憲法三章


【要旨】

一、会社による政治資金の寄附は、客観的、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められるかぎり、会社の権
利能力の範囲に属する行為である。

二、憲法三章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものであるから、会社は、公共の福
祉に反しないかぎり、政治的行為の自由の一環として、政党に対する政治資金の寄附の自由を有する。

会社は定款に定められた目的の範囲内において権利能力を有するわけであるが、目的の範囲内の行為とは、定款に明示された目的自体に限局
されるものではなく、その目的を遂行するうえに直接または間接に必要な行為であれば、すべてこれに包含されるものと解するのを相当とする。

憲法上の選挙権その他のいわゆる参政権が自然人たる国民にのみ認められたものであることは、所論のとおりである。

しかし、会社が、納税の義務を有し自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上、納税者たる立場において、国や地方公共団体の施策に対し、意見の表明その他の行動に出たとしても、これを禁圧すべき理由はない。

のみならず、憲法第三章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。


【解説】

八幡製鉄(現在の新日本製鉄)の代表取締役が自由民主党に政治献金をした行為の責任を追及して、同社の株主が代表訴訟を提起した事件です。



この判例は、『南九州税理士会事件』と比較した上しっかりと押さえておくべき箇所です。

■ 南九州税理士会事件 とは。

税理士会は、強制加入団体であり、会員に実質的に脱退の自由が保障されないことからすると、その目的の範囲を判断するにあたっては、会員の思想・良心の自由との関係で特別の考慮が必要である。

税理士会が政党など政治資金規正法上の政治団体に対して金員を寄付することは、税理士会の目的の範囲外の行為である。
 
 
 
 

代理人

「問」 ○か×か?


代理人は、本人の許諾を得て復代理人を選任したときは、その選任及び監督について本人に対し責任を負う。
 
 



「解答」 ○ です。

任意代理人の復任権は、やむを得ない事由のあるときと、本人の許諾を得たときの2つの場合にだけ、与えられるということでした。

そして、本人の許諾を得て選任した場合でも、選任したのは代理人自身なのですから、本人に対して責任が発生します。

この場合の責任については、復代理人の選任および監督について、本人に責任を負うことになります。(第105条第1項)

つまり、選任の責任と、その後の復代理人の行為に対する監督責任を負うということになります。
 
 
 
 

保証債務

「問」 次の文章の空欄にもっとも適当な語句を【(1)】(6字)【(2)】(6字)に記入しなさい。

保証債務は、主たる債務が履行されない場合に履行される。よって、債権者が保証人に対して支払請求をしたときは、保証人は「まず主たる債務者に請求せよ」と抗弁することができる【(1)】が認められる。

また、債権者が保証人の財産に執行しようとしたときは、保証人は、主たる債務者に弁済資力があり、かつ執行の容易な財産があることを証明することにより、「まず主たる債務者の財産に執行せよ」と抗弁する【(2)】が認められる。

また、連帯保証人には、【(1)】と【(2)】は認められない。
 
 




「解答」 (1)催告の抗弁権 (2)検索の抗弁権

保証人の基本的な権利です。


※複数保証人がいる場合、分別の利益が認められます。

※分別の利益とは、保証人が複数いる場合、頭数で割った分しか、保証債務を負わないというものです。

※催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益は、連帯保証人には認められません。

「催告」、「抗弁」などは、漢字で書けるようにしておきましょう。
 
 
 
 

行政行為の効力

「問」 行政行為の効力に関する次の記述のうち、誤っているものはどれでしょうか?




1,拘束力とは、行政行為が相手方及び行政庁を拘束する効力をいう。



2,公定力とは、違法及び無効な行政行為でも、正当な権限を有する機関による取消しがあるまでは、適法の推定を受け、相手方はもちろん、第三者も、その行政行為を無視することができない効力をいう。



3,不可争力とは、出訴期間・不服申立期間を経過すると、行政行為の相手方からは、その効力を争うことができなくなる効力をいう。



4,自力執行力とは、行政行為の内容を自力で実現しうる効力をいう。



5,不可変更力とは、 処分行政庁が行政行為を自由に取り消しまたは変更しえない効力をいう。
 
 



「解答」 2  誤りです。

公定力とは、違法の行政行為でも、正当な権限を有する機関による取消しがあるまでは、「適法の推定」を受け、相手方はもちろん、第三者、国家機関もその行政行為を無視することができない効力をいいます。

しかし、当然に無効(重大かつ明白な瑕疵がある)の場合は、公定力は生じません。


■ 行政行為の効力

・拘束力 ・公定力 ・自力執行力 ・不可争力 ・不可変更力

の区別は覚えていて当然です。

記述対策としても、その意味と漢字を書けるようにしておきましょう。
 
 
 
 

相続

「問」 ○か×か、どっち?

甲には妻乙と、乙との間の子丙がおり、丙には妻丁、と丁の間の子戊がいる。

甲の死亡により相続が発生した場合において、甲の死亡前に乙、丙、戊が死亡していた場合、丁は甲の相続人となる。
 
 



「解答」 × です。

※この問題も「相続関係図」を自分で書きながら解いて下さい。

営業をされたことのない方にはピンとこないかもしれませんが、実務においても「図に書いて依頼者に説明する」ということは、極めて説得力を持つ手段の一つです。

逆に言葉だけで説明しても、自分で詳しく説明したつもりでいても、相手側にはそのほとんどが伝わっていない、または理解されていない場合が多いものです。

手間を惜しまず、試験においても間違いを極力少なくすることにも有効ですから、相続関係図はいつも書くよう心がけて下さいね。



それでは、「解説」です。

設問では、甲の死亡により、本来は妻の乙と子の丙が相続人となるはずでした。

しかし、この両名は、甲の死亡時にはすでに死亡していますので、相続人にはなれません。

これは妻がいない場合に当たりますので、まずは直系卑属が相続していくことになります。

そして、丙が既に死亡していますので、原則として、戊が生きていれば代襲相続をすることになります。

(第887条第2項)この場合、丙の妻丁には相続分が発生しないことが重要です。

この設問では、戊も死亡していますので、もし戊に子がいれば、再代襲になりますし、戊に子がいなければ、甲の直系尊属で生存している人がいればその人に、直系尊属に生存者がいなければ、甲の兄弟姉妹に相続の権利が移ることになります。

どちらにしても、丙の妻丁が相続人になることはありません。

よって、この問題の正解は「 × 」となります。
 
 
 
 

損失補償

「問」 損失補償に関する次の記述のうち、誤っているものはどれでしょうか?



1 憲法29条3項にいう「正当な補償」とは、当初判例は相当補償説の立場だったが、その後完全補償説の立場をとった判例もある。 



2 土地収用法における「通常受ける損失」とは、客観的社会的にみて収用に基づき被収用者が当然に受けるであろうと考えられる経済的,財産的な損失をいい、経済的価値でない特殊な価値についてまで補償の対象とする趣旨ではない。



3 損失補償にあたっては、具体的な法律がなくとも憲法29条3項を根拠に損失補償を請求できる余地はある。



4 損失補償において、財産権の制限と補償は、同時履行の関係にある。



5 損失補償は原則として現金による。ただし損失を被ったものが希望する場合は代替地等の現物での補償も可能である。
 
 



「解答」 4 誤りです。

損失補償において、財産権の制限と補償は、同時履行の関係まで補償したものではありません。
 
 
 
 

覚えたい判例 / 東大ポポロ事件

◇ 最高裁判決文

大学における学問の自由を保障するために、伝統的に大学の自治が認められている。

この自治は、とくに大学の教授その他の研究者の人事に関して認められ、大学の学長、教授その他の研究者が大学の自主的判断に基づいて選任される。

また、大学の施設と学生の管理についてもある程度で認められ、これらについてある程度で大学に自主的な秩序維持の権能が認められる。


このように、大学の学問の自由と自治は、大学が学術の中心として深く真理を探求し、専門の学芸を教授研究することを本質とするに基づくから、直接には教授その他の研究者の研究、その結果の発表、研究結果の教授の自由とこれらを保障するための自治とを意味すると解される。

大学の施設と学生は、これらの自由と自治の効果として、施設が大学当局によって自治的に管理され、学生も学問の自由と施設の利用を認められるのである。

もとより、憲法二三条の学問の自由は、学生も一般の国民と同じように享有する。

しかし、大学の学生としてそれ以上に学問の自由を享有し、また大学当局の自治管理による施設を利用できるのは、大学の本質に基づき、大学の教授その他の研究者の有する特別な学問の自由と自治の効果としてである。

大学における学生の集会も、右の範囲において自由と自治を認められるものであって、大学の公認した学内団体であるとか、大学の許可した学内集会であるとかいうことのみによって、特別な自由と自治を享有するものではない。

学生の集会が真に学問的な研究またはその結果の発表のためのものでなく、実社会の政治的社会的活動に当る行為をする場合には、大学の有する特別の学問の自由と自治は享有しないといわなければならない。
 
 
 
 

憲法 前文

日本国憲法の前文に関する次の記述のうち、適当でないものはどれでしょうか?



1 日本国憲法は硬性憲法であるが、憲法前文は条文と異なるので、他の法律同様に、国会の出席議員の過半数の賛成で内容を変更することができる。



2 国政の権力は国民の代表者が行使し、その福利は国民が享受するものであり、この原理に反する法令は排除するとされている。



3 第2段落には平和主義に関する記述があり、平和を維持しようと努めている国際社会において、日本が名誉ある地位を占めたい旨が書かれている。



4 全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認するという記述は、Fルーズベルトの四つの自由のうちの2つと合致している。



5 いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないという記述は、国際協調主義に関するものである。
 
 



「解答」  1.適当ではありません。

憲法前文は、憲法制定の理由や憲法の基本原則を明らかにする目的で書かれたものであり、上諭とは異なって、憲法の主要な一部です。

上諭とは、前文の前に書かれている、「朕は、日本国民の総意に基づいて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび…」という文章のことです。

憲法の一部であるからには、改正するためには、特別多数決や国民投票の手続が必要となります。

出来て当たり前。出ます!★★★
 
 
 
 

法律行為的行政行為

法律行為的行政行為は、行政庁の意思表示を要素とするもので、命令的行為と形成的行為があります。

下記は、行政行為の種類及び具体例です。

■ 法律行為的行政行為


行政庁の意思表示を要素とし、行政庁が一定の効果を欲し、その効果を生ずる行為です。

(1)命令的行為 : 国民に特定の義務を命じたり、義務を解除したりする行為

※下命 : 作為・不作為・給付・受忍を命ずる。
例)租税の賦課、違法建築物の除却命令 等

※禁止 : 下命のうち、特に不作為を命ずる。
例)道路の通行止め、営業の禁止命令 等

※許可 : 一般的な禁止を特定の場合に解除する。前提は「禁止」で、それを例外的に解除する場合です。
例)自動車運転免許、火薬類製造の許可、飲食店の許可、医師免許風俗営業の許可 等

※免除 : 特定の場合に、義務を解除する。
例)租税の免除、児童の就学義務の免除 等



(2)形成的行為 : 国民が本来有していない特殊の権利、能力その他を与えたり、奪ったりする行為です。

※特許 : 権利能力・行為能力・特定の権利の付与または包括的な法律関係の設定等、法律上の力を発生・変更・消滅させる。
例) 鉱業権設定の許可、河川の占用の許可、公有水面埋立免許、公務員の任免 等

※認可 : 第三者の行為を補充してその法律上の効力を完成させる。
例)河川占用権譲渡の承認、農地移転の許可 等

※代理 : 第三者に代わって国が行い、第三者自らがしたのと同様な効果を生ずる。 
例)土地収用の裁決 等




■ 準法律行為的行政行為

行政庁の意思表示以外の精神作用を要素とし、行政庁の意思とは無関係に、一定の効果が付与される行為です。

※確認 : 特定の事実または法律関係に関し疑義または争いがある場合に、公の権威によって真否を確認する。
例)建築確認、当選人の決定、発明の特許、所得額の更正決定 等

疑義または争いがある場合の真否を確認するのが『確認』です。

以下の「公証」との相違ができるよう覚えて下さい。

※公証 : 特定の事実または法律関係の存否を公に証明する。
例)選挙人名簿への登録 等

※通知 : 特定または不特定多数の人に対し、特定の事項を知らせる。
例)納税の督促 等

※受理 : 他人の行為を有効な行為として受領する。
例)婚姻届の受理 等
 
 
 
 

法定相続分

「問」 父・母の間に三人の嫡出子X・Y・Zがあり、Xには二人の嫡出子A・B、Yには子のCと非嫡出子D、Zには養子Eがあるが、X・Yは既に死亡していた。

その後、父が相続財産360万円を残して死亡し、Zは相続を放棄した。

この場合、Dの法定相続分はいくらになるでしょうか?


※こういった形式の問題、出ますよぉ〜。
 
 



「解答」 30万円です。


< 解説 >

何度も言っていますが、こういった問題は、実際に図に書いて考えましょう。そちらの方が考えもまとまり、逆に時間の節約にもなります。

法定相続分は民法の第887条から第890条にかけて定められていますので、自分で目を通しておきましょう。

まず、配偶者がいない(すでに死亡または離婚)場合には、子、直系尊属、兄弟姉妹の順序で相続されます。

逆に、配偶者がいる場合は、必ず当該配偶者は相続人の一人となります。

1.配偶者と子が相続人の場合・・・配偶者が1/2、子が1/2

2.配偶者と直系尊属が相続人の場合・配偶者が2/3、直系尊属が1/3

3.配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合・配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4



この問題文では、父が死亡しましたので、もし子のXとYも生きていたとすると、相続人は母と子X、Y、Zの4人です。

そして、法定相続分は、母が1/2、子が各々1/6になります。

さて、子Zが相続放棄をしていますが、これは、初めから相続人でなかったことにする手続きです。(第939)

よって、Zはいないことになりますので、他の子の法定相続分が変わってきます。

つまり、XとYは、各々1/4づつの相続となるわけです。


では、この問題文のように、XとYが既に死んでいる場合はこの相続分はどうなってしまうのでしょうか?

この場合は、XとYの子が、代襲して相続をすることになります。(第887条第2項)

つまり、Xの相続分をAとBが、Yの相続分をCとDが、代襲相続する事になります。

この場合、AとBは、両名共に嫡出子ですので、各々1/8づつの相続となります。

CとDに関しては、Dが非嫡出子ですが、非嫡出子は嫡出子の1/2の相続分しか与えられませんので(第900条第4号但書)、結局Cが2/12、Dが1/12の相続となります。

よって、Dの法定相続分は、360万円×1/12=30万円となります。
 
 
 
 

北方ジャーナル事件 解説

〈解説〉

■事前抑制禁止の理論

「事前抑制禁止の理論」とは、表現活動に対する公権力による事前の規制を禁止するという原則です。

公権力による表現活動に対する事前抑制は、表現内容が「思想の自由市場」に出る前に差し止められ、表現内容についての公の批判の機会を失わせるものとなります。

「事前抑制禁止の理論」は、表現内容が自由に受け手に到達する状態を確保し、自由な言論活動を保障しようとするものです。

「検閲」は、この事前抑制の典型的な例です。


■「検閲」(けんえつ)

◇検閲の「主体」は、「行政権」か「公権力」か。二様の考え方があります。

◇判例は、検閲の「主体」を「行政権」に限定しています。

つまり、「『検閲』とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁止することを」いう。

判例の立場では、「裁判所の仮処分による事前差し止め」は、「主体」が裁判所なので、検閲に該当しないことになります。

◇検閲の主体を「公権力」とする立場からは、裁判所の仮処分による事前差し止めも検閲にあたります。
しかしこの立場においも、検閲に例外を認め、裁判所の仮処分による事前差し止めを認めます。
 
 
 
 

覚えたい判例 / 北方ジャーナル事件

北方ジャーナル事件(名誉毀損と事前差止め
(最高裁大法廷判決S61.06.11)


・ 事件

北海道知事選に立候補を予定していた者を中傷する記事を掲載した雑誌の発売が準備されていた。

名誉権の侵害を予防するために、その雑誌の販売等の事前差止めの仮処分の申請により、発行が差止められた。

この差止めが違法であるとして損害賠償を求めた事件。


・ 判旨(部分)

(裁判所の仮処分による事前差止めは検閲に該当しない)

「『検閲』とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査して、不適当と認めるものの発表を禁止することをいう」。

「裁判所の仮処分による雑誌その他の出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めは、表現物の内容の網羅的一般的な事前規制が行政機関により行われる場合とは異なり、個別的な私人間の紛争について、裁判所により、当事者の申請に基づき差止請求権等の私法上の被保全権利の存否、保全の必要性の有無を審理判断して発せられるものであるから『検閲』には当たらない」。

(表現の自由の保障の趣旨は何か。国政を決める多数意見の形成)

「主権が国民に属する民主制国家は、その構成員である国民がおよそ一切の主義主張等を表明するとともにこれらの情報を相互に受領することができ、その中から自由な意思をもって自己が正当と信ずるものを採用することにより多数意見が形成され、かかる過程を通じて国政が決定されることをその存立の基礎としているのであるから、表現の自由、とりわけ、公共的事項に関する表現の自由は、特に重要な憲法上の権利として尊重されなければならないものであり、憲法21条1項の規定は、その核心においてかかる趣旨を含むものと解される。」

(表現行為に対する事前抑制の弊害は何か。)

「表現行為に対する事前抑制は、新聞、雑誌その他の出版物や放送等の表現物がその自由市場に出る前に抑止してその内容を読者ないし聴視者の側に到達させる途を閉ざし又はその到達を遅らせてその意義を失わせ、公の批判の機会を減少させるものであり、また、事前抑制たることの性質上、予測に基づくものとならざるをえないこと等から事後制裁の場合よりも広汎にわたり易く、濫用の虞(おそれ)があるうえ、実際上の抑止的効果が事後制裁の場合より大きいと考えられるのであって」、

「表現行為に対する事前抑制は、表現の自由を保障し検閲を禁止する憲法21条の趣旨に照らし、厳格かつ明確な要件のもとにおいてのみ許容されうる」。

(厳格かつ明確な要件のもとにおいてのみ事前差し止めは許される)

「名誉侵害の被害者は、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対して、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができる。」

(事前差止めが許される実体的要件について)

「人格権としての名誉権に基づく出版物の印刷、製本、販売、頒布等の事前差止めは、右出版物が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批判等に関するものである場合には、原則として許されず、その表現内容が真実でないか又はもっぱら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ、被害者が重大にしていちじるしく回復困難な損害をこうむるおそれがあるときに限り、例外的に許される。」

(事前差止めが許される手続的要件について)

「公共の利害に関する事項についての表現行為の事前差止めを仮処分によって命ずる場合には、原則として口頭弁論又は債務者の審尋(しんじん)を経ることを要する」。

しかし「債権者の提出した資料によつて、表現内容が真実でないか、又は専ら公益を図る目的のものでないことが明白であり、かつ、債権者が重大にしていちじるしく回復困難な損害をこうむるおそれがあると認められるときは、口頭弁論又は債務者の審尋(しんじん)を経なくても憲法21条の趣旨に反するものとはいえない。」
 
 
 
 

行政行為

「問」 行政行為に関する次の記述のうち、誤っているものはどれでしょうか。



1,行政行為とは、行政庁が一方的に国民に対して具体的事実に関して規制をする権力的作用である。



2,法律行為的行政行為とは、行政庁の意思表示を要素とするもので、命令的行為と形成的行為がある。



3,認可とは、第三者の法律的行為の効力を補充し、これを完成させる行為であり、契約の有効要件である。



4,行政行為に付着した瑕疵は、すべて無効あるいは取消しの原因となる。



5,行政行為が無効となるのは、重大かつ明白な瑕疵がある場合とするのが判例である。
 
 



「解答」 4 誤りです。

誤算その他表現上の誤りなど軽微な瑕疵を「誤謬」(ごびゅう)といい、取り消さなければならない必要性を欠くものがあります。

また、行政行為自体は違法であっても、その違法の程度が軽微であり、それを取り消すと法的安定性を損なうような場合、及び、その後の事情の変化により実質的にみればそれが是正されたような結果となった場合に、その行為を有効なものとして取り扱う(瑕疵の治癒)場合もあります


■行政行為とは、行政庁が(行政機関のトップ)、一方的に(権力的)、国民に対して(行政内部ではありません)、具体的事実に関して(一般的、抽象的ではありません)規制をする権力的作用です。
 
 
 
 

覚えたい判例 / チャタレイ事件

チャタレイ事件(わいせつ文書の頒布禁止)

◆判例 S32.03.13 大法廷・判決 昭和28(あ)1713 猥褻文書販売(刑集第11巻3号997頁)

【要旨】

一 刑法第一七五条にいわゆる「猥褻文書」とは、その内容が徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善
良な性的道義観念に反する文書をいう。


三 文書が、「猥褻文書」に当るかどうかは、一般社会において行われている良識、すなわち、社会通念に従つて判断すべきものである。

六 芸術的作品であつても猥褻性を有する場合がある。

七 猥褻性の存否は、当該作品自体によつて客観的に判断すべきものであつて、作者の主観的意図によつて影響されるものではない。

九 憲法第二一条の保障する表現の自由といえども絶対無制限のものではなく、公共の福祉に反することは許されない。
【参照・法条】


憲法の保障する各種の基本的人権についてそれぞれに関する各条文に制限の可能性を明示していると否とにかかわりなく、憲法一二条、一三条の規定からしてその濫用が禁止せられ、(公共)の(福祉)の制限の下に立つものであり、(絶対無制限)のものでないことは、当裁判所がしばしば判示したところである。

この原則を出版その他表現の自由に適用すれば、この種の自由は極めて重要なものではあるが、しかしやはり(公共)の(福祉)によつて制限されるものと認めなければならない。

そして性的秩序を守り、最少限度の性道徳を維持することが(公共)の(福祉)の内容をなすことについて疑問の余地がないのであるから、本件訳書を猥褻文書と認めその出版を(公共)の(福祉)に違反するものとなした原判決は正当であり、論旨は理由がない。
 


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