■ 制限能力者
【問】制限能力者に関する次の記述のうち、誤っているはどれでしょうか?
1 未成年者の行った行為は原則取消できるが、処分を許された財産の処分、単に権利を得て、義務を免れる行為は、親権者の同意なしに単独で行うことができる。
2 制限能力者の契約の相手方は、制限能力者の保護者に対して、1ヶ月以上の期間内に当該契約を追認するか否かを確答すべき旨を催告し、その期間内に確答がない場合は、当該行為を取消したものとみなされる。
3 成年被後見人の保護者である成年後見人は代理権、取消権を持つが、同意権をもたない。
4 制限能力者が、能力者であることを信じさせるため積極的な詐術を用いて契約をした場合には当該行為を取消すことができない。
5 未成年者が親権者の同意なくして契約をした場合でも、親権者が、全部又は、一部の履行を行えば取消ができなくなる。
[解答] 2 誤りです。
契約の相手方は、制限能力者の保護者(親権者・成年後見人等)に対して、1ヶ月以上の期間内に当該契約を追認するか否かを確答すべき旨を催告することができます。
そして、その期間内に確答がない場合は、当該行為を追認したものとみなされます。
法律用語としては、無能力者又は行為無能力者という用語が用いられていいましたが、禁治産や準禁治産の制度に代わるものとして2000年4月から導入された成年後見制度の下で、制限能力者と表現が改められました。
更に民法の口語化を主な目的とする民法の一部改正法の施行により、2005年4月から更に表現が改められています。
◇ 成年被後見人
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者として、後見開始の審判を受けた者のことをいう(民法7条、8条)。成年後見制度を導入する前の「禁治産者」に相当する。
成年被後見人には成年後見人が付され、成年後見人は、成年被後見人の財産に関する法律行為につき成年被後見人の法定代理人としての地位を有する(民法859条1項)。
成年被後見人が成年後見人の代理によらず単独で行った法律行為については、事理弁識能力を欠いた常況で行われた行為であるため、取消しすることができます。
ただし、成年被後見人の自己決定の尊重の観点から、問題となる法律行為が「日用品の購入その他日常生活に関する行為」である場合は取り消すことができません。
■ 後見開始の審判
第7条 【後見開始の審判】
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
第8条 【成年被後見人及び成年後見人】
後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
◇ 未成年者
■ 未成年者の行った行為は原則取消ができます。
しかし、未成年者が親権者の同意なしで行える行為もあります。
毎年くらい問われる箇所ですから、代表的なものは最低限押さえておきましょうね。
・ 小遣い等で自由にお菓子を買う行為。(「処分を許された財産の処分」と、いいます)
・ 物を貰う行為、贈与を受けることです。(「単に権利を得て、義務を免れる行為」と、いいます)
・ 営業の許可を受けている場合
等です。
■ 成年被後見人の保護者である成年後見人は代理権、取消権を持つが、同意権をもちません。
これは、成年被後見人は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあり、後見開始の審判を受けた者をいいます。
能力を欠く常況にある人間にいくら同意を与えても、しっかりと契約をしてくれるか分かりませんので、そもそも同意権を与えなていません。
■ 制限能力者が、能力者であることを信じさせるため積極的な詐術を用いて契約をした場合には当該行為を取消すことができません。
例えば、未成年者が運転免許証等を偽造し、成年者と偽って契約をしたような場合などです。
これは、未成年者とはいえ、詐術を用いて契約した者まで保護する必要はないからです。
当然ですね。
■ 制限能力者の保護者が、ある一定の行為を行えば取消ができなくなる(法定追認)ことがあります。
つまり、追認とは取消権の放棄のことです。
法定追認の内容です。
・ 全部又は、一部の履行
・ 履行の請求
・ 更改
・ 担保の供与
・ 取消し得る行為により取得した権利の全部又は、一部の譲渡
・ 強制執行
など、以上の行為を制限能力者の保護者が行った場合は、法律上追認したものとみなされます。
「問」制限能力者に関する次の記述のうち、誤っているはどれか。
1 成年被後見人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあり、後見開始の審判を受けた者をいう。
2 被保佐人・被補助人が制限能力者である間に、契約をした相手方は、被保佐人・被補助人に対して、1ヶ月以上の期間内に保佐人又は、補助人の追認を得るように催告し、その期間内に追認を得ることができなかった場合には、当該行行為を追認したものとみなされる。
3 契約時には制限能力者であったがその後、能力者となった者に対して、1ヶ月以上の期間内に当該行為を追認するか否かを確答すべき旨を催告することができ、その期間内に確答がない場合には当該行為を追認したものとみなされる。
4 被補助人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者で補助開始の審判を受けた者をいいます。
5 成年被後見人は、一切の行為が単独でできないわけではない。
「解答」 2 誤りです。
被保佐人・被補助人が制限能力者である間の催告
契約の相手方は、被保佐人・被補助人に対して、1ヶ月以上の期間内に保佐人又は、補助人の追認を得るように催促することができます。
そしてその期間内に追認を得ることができなかった場合は、当該行為は取消したものとみなされます
被保佐人
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者として、保佐開始の審判を受けた者のことをいう(民法11条、12条)。
成年後見制度を導入する前の「準禁治産者」に相当するが、準禁治産とは異なり浪費は原因とされていない。
被保佐人には保佐人が付されるが、保佐人は成年後見人と異なり、原則として法定代理人としての地位を有しない。
ただし、被保佐人の同意がある場合は、家庭裁判所の審判により、保佐人に対し特定の法律行為について代理権を付与することができる(その結果、代理権の範囲が特定された法定代理人となる)。
被保佐人が民法13条1項に列挙の行為や家庭裁判所により追加された行為をする場合は、保佐人の同意が要求され、同意を得ることなくこれらの法律行為を下場合は、取り消すことが出来る。
第11条【保佐開始の審判】
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第7条に規定する原因がある者については、この限りでない。
第12条【被保佐人及び保佐人】
保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。
第13条【保佐人の同意を要する行為等】
1項
被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
1.元本を領収し、又は利用すること。
2.借財又は保証をすること。
3.不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
4.訴訟行為をすること。
5.贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成15年法律第138号)第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
6.相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
7.贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
8.新築、改築、増築又は大修繕をすること。
9.第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
2項
家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3項
保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4項
保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
被補助人
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者として、補助開始の審判を受けた者のことをいう(民法15条1項、16条)。
第15条【補助開始の審判】
1項
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第7条又は第11条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
2項
本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3項
補助開始の審判は、第17条第1項の審判又は第876条の9第1項の審判とともにしなければならない。
第16条【被補助人及び補助人】
補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。
被補助人には補助人が付されるが、本人には一定程度の判断能力があることに鑑み、家庭裁判所による補助開始の審判には本人の同意が必要とされる。また、補助開始の審判と同時に被補助人の同意を要件に以下の一方又は双方の審判がされる。
1、民法13条1項に列挙されている行為の一部の法律行為について補助人の同意を要するとすること
2、特定の法律行為について補助人に代理権を付与すること
以上の審判により補助人の同意を要するとされた法律行為を被補助人が同意を得ずに行った場合は、当該法律行為を取り消すことが出来る。
【問】○か×か?
未成年の被保佐人が婚姻をしても、被保佐人としての行為能力の制限は解除されない。
◇解答「 × 」です。
メルマガの方でも説明しましたが、「行為能力」とは、自らの行為によって、法律行為(例えば売買行為)の効果を確定的に自己に帰属させる能力のことを指します。
この行為能力は、原則として成年に達した時点で持つものとされていますが、中にはそのような能力を持っていない人も存在します。
民法では、このような行為能力を持っていない人を体系化し、優先的に保護しようとしています。(※解説の枝葉がどんどん広がっていますが、今は「制限能力者」について集中して覚えるようにして下さい。でないと、ここでつまづいても仕方がないし、前には進めなくなりますので。)
過去、ブログの方でも説明していますが、制限能力者の体系は次の通りです。
1.未成年者(第3条)
2.成年被後見人(第9条)
3.被保佐人(第12条)
4.被補助人(第16条)
この人達を保護するために、その財産管理権を制限するとともに、この人達を保護する人を選任し、制限能力者の制限された管理権を補充させています。
さてこの設問では、未成年者が婚姻をすることにより、成年擬制(第753条)が働きますので、未成年者としての行為能力の制限は解除されます。
第753条【婚姻による成年擬制】
未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。
しかし、被保佐人としての行為能力の制限は、保佐開始の審判の取消(第13条)があって始めて解除されますので、その取消のない以上は、解除されません。
第13条【保佐人の同意を要する行為等】
1項
被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
1.元本を領収し、又は利用すること。
2.借財又は保証をすること。
3.不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
4.訴訟行為をすること。
5.贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成15年法律第138号)第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
6.相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
7.贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
8.新築、改築、増築又は大修繕をすること。
9.第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
2項
家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3項
保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4項
保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
なお、未成年者以外の3種類については、全て家庭裁判所の審判によって成立し、取消しについても家庭裁判所の取消しの審判によります。
民法上の意思表示に関する次の記述のうち誤っているものは、どれでしょうか?
1、心裡留保とは、表意者が意思表示に対応する意思がないことを知りながら発する意思表示のことであり、心裡留保による意思表示は原則有効である。
2、通謀虚偽表示とは、真意がないのに、相手方と通謀して虚偽の外観を作り出すことであり、通謀虚偽表示は無効であるが、その無効は善意の第三者に対抗できない。
3、錯誤による意思表示の無効を主張する為には、要素の錯誤があり、重過失がないことが必要であり、この無効は契約当事者であればこれを主張することができる。さらに、この無効は善意の第三者にも対抗できる。
4、意思能力がないものが行った契約は無効である。
5、詐欺に基づく意思表示は、取消しができるが、契約の時から20年を経過した場合には取消権を失う。
「解答」 3 謝りです。
錯誤による意思表示は無効です。これには・要素の錯誤が存在して、・重過失がないことが必要です。
聞き慣れない難しそうな言葉がならんでいますが、普通に考えたらわかりますよね。
錯誤無効は原則、「錯誤に陥った本人」しか主張できません。
当事者が主張できるわけではなく、本人しか主張できないのです。
さらに、この無効は全ての人に対して主張できます。
そして設問文中にある「善意の第三者」にも対抗できます。
制限能力者にからんで民法にまで問題を広げてみましたが、まだ今の時点では「あぁこんな問題もあるんだな」程度の理解でいいと思います。
とにかく法律用語に慣れることが肝要です。
一からはじめる人はまず、法律用語の「うっとぉしさ」にへきへきしますからね(笑)
でも丁寧な学習も必要ですよ。
「錯誤」の意味が分からなければ辞書を引く。「重過失」の意味が不明瞭なら辞書を引く。
合格は、そんな地道な作業の積み重ねの向こう側に見えてきます。
特に近年の「ふらふらした」試験内容では、まぐれ合格の数も激減することでしょう。
結局は、勉強した者勝ちです。
ちなみに、合格した後のことを言うのなら、行政書士の資格だけでは昨今、まず食べていけないでしょうね。
もちろんやり方次第ですが、それには別の能力が必要になります。
「営業力」と「人間力」です。
次ぎは宅建、社労士、中小企業診断士など、得意分野を集中するか広く持つか、個々の特色をより強く持たないと世間の波に呑まれてしまうことでしょう。
そんなとき、行政書士試験のための勉強が生きてきます。
勉強時間の取り方、資格を「お金」に変えるスキル。もちろん法律の知識も。
司法書士、果ては弁護士もありますね。
とにかく、現実は「キリがない」ことを覚悟しておきましょう。
○か×か?
就学前の幼児が、他の者から贈与の申込を受けてこれを承諾しても、その承諾は無効である。
◇解答「 × 」です。
法律行為の結果を理解するのに足りるだけの精神能力を有していない者を「意思無能力者」といいます。
この意思能力があるとされるためには、大体7歳から10歳位の精神能力があることが要求されています。
就学前の幼児は、意思能力がないことは明らかですので、このような意思無能力者がした行為は無効だと、判例は示しています。
(大判M38.5.11)
ちなみに、意思能力を備えた未成年者の場合には、通常の贈与は単に権利を得る行為ですので、単独でも有効となります。
(第4条第1項但書)
さて、おさらいです。
◇成年被後見人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあり、後見開始の審判を受けた者をいいます。
制限能力者が能力者となった場合の催告は、
契約の相手方は、契約時には制限能力者であったがその後、能力者となった者に対して、1ヶ月以上の期間内に当該行為を追認するか否かを確答すべき旨を催告することができます。
そして、その期間内に確答がない場合、当該行為を追認したものとみなされます。
さて、未成年後見人の数も、成年後見人の数も、1人でなければならないでしょうか?
・ 解答 成年後見人は複数でも構いません。
後見人には次の2種類がありましたね。
※保護する対象は違いますが、どちらも一人で生活をして行くのが難しい人に対する制度です。
1.未成年後見人
親権者が死亡したり、親権を剥奪される等によって、未成年者に対し親権を行う者がない場合に、その未成年者を保護するために、選任される者をいいます。(第838条第1項)
未成年後見人は、1人でなければならないと、条文に定められています。(第842条)
これは、複数の人が選任されるとすると、例えば、この未成年者の法律行為を未成年者に代わってする場合に、もめたりする可能性もあります。
後日、責任の所在があいまいになることも予想されます。
さらに親権者の場合は、原則父母の2人がいる訳ですが、子への愛情がありますので、例えもめたとしても、子の不利益になることは避けるであろうと考えられますが、後見人は全くの他人ということもありえますので、その辺りの期待もできないわけです。
2.成年後見人
痴呆症や知的障害等により、日常生活の中で判断能力が不十分になった成人に対して家庭裁判所が後見開始の審判をした場合に、その者を保護するために選任される者をいいます。(第838条第2項)
成年後見人については、その人数は条文では定められていませんので、複数人でもいいことになります。
これは、例えば痴呆の高齢者の場合、多くの人たちが組んで、成年被後見人(痴呆の高齢者)の保護を図った方がその者のためになることもあるからです。
◇被補助人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者で補助開始の審判を受けた者をいいます。
原則、成年被後見人は原則単独で契約等を行うことはできません。
但し、日常生活に関する行為は単独で行うことができます。
◇心裡留保とは、表意者が意思表示に呼応する意思がないことを知りながら発する意思表示のことです。(冗談等)
心裡留保による意思表示は原則有効です。
なぜなら、取引の外形を信用した相手方を保護する必要があるからです。
しかし、相手方が、表意者の真意を知り(悪意)又は、これを知ることができたのに知らなかった(過失)ときは、その意思表示は無効となります。
なぜなら、相手方を保護する必要がないからです。
当然ですね。
それから、相手方が、悪意有過失の場合による無効は、善意の第三者に対して対抗できません。
◇通謀虚偽表示とは、相手方と通謀して真意ではない意思表示をお互いにすることです。
つまり、真意がないのに、相手方と一緒に虚偽の外観を作り出すことです。
原則、通謀虚偽表示は無効です。
なぜなら、お互いに真意ではない意思表示の合致に法的拘束力を与える必要がないからです。
しかし、当事者間の契約は無効ですが、その無効は善意の第三者に対抗できません。
これは、外形を信じて取引に入った者を保護するためです。
善意の第三者が、自己の権利を主張するためには、対抗要件は不要とされています。
又、無過失まで要求されません。
虚偽表示による契約の無効は、第三者(善意・悪意を問わず)から善意で目的物を取得した者(転得者)に対しても、対抗することはできません。
なぜなら、仮に、悪意でも第三者を保護しなければ、善意の転得者を保護できないからです。
例えば、
A → B → C → D
虚偽表示 善 意 悪 意
上記事例においてDは悪意でも保護されます。
なぜなら、Cを保護するためです。
ちなみに、詐欺に基づく意思表示は、取消しができますが、契約の時から20年を経過した場合には取消権を失います。
詐欺に基づく契約でもあるので、その取消しを主張できます。
しかし、取消せる契約でも、「契約の時から20年」を経過した場合には取消できなくなります。
要するに、取り消すならば契約から20年以内に取り消しなさいということですね。
○か×か?
被保佐人は、保佐人の同意またはこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないで自己の所有する自動車を他に売却した場合であっても、その自動車が善意の第三者に転売された後は、自己が締結した売買契約を取り消すことができない。
被保佐人のする法律行為については、一部重要な行為について、保佐人の同意またはこれに代わる家庭裁判所の許可が必要となります。(第13条1項各号)
第13条【保佐人の同意を要する行為等】
1項
被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
1.元本を領収し、又は利用すること。
2.借財又は保証をすること。
3.不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
4.訴訟行為をすること。
5.贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成15年法律第138号)第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
6.相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
7.贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
8.新築、改築、増築又は大修繕をすること。
9.第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
そして、この同意または許可がない行為は、取消をすることができます。
この同意または許可が必要な法律行為の具体的な内容については、イメージとして覚えてしまうと、後々楽になると思います。
さて、この肢の自動車の売却ですが、自動車は重要な財産と判断できますので、同条第1項第3号より、本来、保佐人の同意が必要な行為であるということになります。
よって、この売却行為は取消しすることができるものであり、この取消権は、たとえ第三者に転売された後であっても、行使することができます。
つまり、(善意の)第三者の保護よりも、被保佐人の保護を優先していることになります。
○か×か?
銀行との間において金銭消費貸借契約を締結した被保佐人が、その銀行から2ヶ月以内に保佐人の追認を得べき旨の催告を受けたにもかかわらず、何らの通知もしなかった場合には、その契約は、追認されたものとみなされる。
誤りです。
制限能力者である4種類の人がした法律行為について、相手方は催告をすることができます。
第19条【審判相互の関係】
1項
後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。
2項
前項の規定は、保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する。
つまり、いつ取り消されるかが分からない状況にいつまでも相手方を置いておくのは、どうもまずいだろうということですので、相手方に催告権を与えて、取り消すかどうかを確定させようというものです。
第20条 【制限行為能力者の相手方の催告権】
1項
制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条第1項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、1箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2項
制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
3項
特別の方式を要する行為については、前2項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
4項
制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第17条第1項の審判を受けた被補助人に対しては、第1項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
被保佐人が能力者となる前の状況において、当該被保佐人との法律行為をした相手方が、1ヶ月以上の期間を定めて、その期間内に、保佐人の追認を得る旨を催告をすることができるという、条文に即した催告をしています。
この催告は有効です。
この催告に対して、保佐人の追認を得た旨の通知を発しなかった場合にはどうなってしまうのかということですが、これは、追認を認めなかった、つまり当該法律行為を取り消したものとみなされます。
これは、この肢の金銭消費貸借契約の締結は、第12条第1項第2号の「借財をなすこと」に該当し、本来ならば保佐人の許可を得てからしなければならない法律行為ですので、明確に許可(この場合は追認)を得られない以上、有効にはできないためです。
|