〜 損害賠償と交通事故 〜
損害賠償の争いはあらゆる分野に及びます。
◆ けんかで怪我をさせられたときは
けんかの原因、怪我の程度など、その時の状況によっても異なりますが、総合的に判断して相手方の責任がより重ければ、怪我の治療費、休業損害、慰謝料など損害賠償を請求できます。
ただ、酒の上の口論から殴り合いになるなどのけんかは、一般的に双方に不法行為責任がある場合が多く、損害は過失相殺される可能性が高いですね。
なお、子供同士のけんかの場合には、親の監督責任が問われることもあります。
先日も、決闘罪なる刑法が何十年ぶりかに少年に適用され、逮捕された事例もありました。
私自身もそんなものが現代に適用されるなど夢にも思ったことがありませんでしたが、「いやはや」です。時代でしょうか?
私のガキの時分は顔なんかまともに見れた日など一日もなかったように想い出されます。かさぶたの上にまたかさぶたを作って、年中痣だらけでも、周囲や先生も「ケラッケラ」笑ってましたけどねぇ。
◆ 犬にかまれたときは
被害者は一般的に、犬の占有者(飼い主)に対して、治療費などを請求できます。
最近では、飼い主の飼育管理上の注意義務違反を認めて、賠償を命じる判例も少なくありません。
通常、散歩中に引き綱を外していたり、公園などの自宅以外で放し飼いにした場合の事故は、飼い主の責任がより重く、一方被害者が鎖に繋がれた犬をからかった場合などは、その損害算定上、大きく過失相殺をされることとなります。
◆ 欠陥商品で損害を受けた時は
商品が故障しただけの場合は、その修理や交換、代金返還しか請求はできません。
しかし、その欠陥商品が原因で拡大被害が起きたとき(テレビに欠陥があって、出火、火災が起きて怪我をしたときなど)には、消費者は、その欠陥商品のメーカーに対して、製造物責任法(PL法)に基づく損害賠償を請求できます。
PL法では、メーカーは無過失責任を負い、消費者は欠陥商品であったことだけを立証すればよいことになっています。
「PL」とは、Product Liability、すなわち「製造物責任」のことです。
製造物責任制度とは、製品の欠陥によって生命、身体または財産に損害を被った場合には、被害者は製造業者などに対して損害賠償を求めることができる制度です。
- PL法とは?
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- 1.自らの意思によって引き渡した製造物の欠陥によって
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- 2,他人(製造物に直接使用・消費していない第三者も含まれます。また、自然人のみならず、法人も含まれます)の生命、身体または財産を侵害したとき
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- 3,当該製造物を業として製造、加工若しくは輸入した者又は当該製造物に一定の表示をした者が被害者に対して損害賠償責任を負う
というもので、従来の民法の大原則であった過失責任を欠陥責任原則に転換した被害者保護の法律です。
◆ 悪口や誹謗中傷をされたときは
「人の不幸は蜜の味」、「うわさ話ほど楽しいものはない」などと言われますが、それも程度の問題となります。
他人を傷つけるような類のものは人格権の侵害であり、場合によっては名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(同法231条)が成立します。
この場合、被害者は刑事告訴をしてもいい(親告罪なので告訴が必要)し、また不法行為による損害賠償請求もできます。
民事上の請求をする場合、賠償請求と一緒に謝罪広告などを要求するのが一般的です。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
◆ プライバシーを侵害されたときは
情報公開法の個人情報開示の制限、医師法や弁護士法などの守秘義務規定を除き、直接プライバシーを保護する法律はありません。
しかし、タレントの肖像権にも代表されるように、個人のプライバシーも人格権であり、法的保護の対象になります。
この被害者は民事上、不法行為に基づく損害賠償を請求できます。
また、盗撮や個人データの漏洩については、各種の刑罰規定によって刑事処分を受けることもあります。
◆ 公務員の過失で損害を受けたときは ★★★
授業中の教師や公務中の警察官など、公務員の過失によって損害を受けた被害者は、国家賠償法に基づき損害賠償を請求できます。
また、公道や公立体育館など、公の営造物の欠陥で損害を被った場合は、被害者は施設管理者の国や自治体の責任を問い、賠償請求をすることもできる。
ただし、過失行為をした公務員個人に対しては、公権力の行使中の出来事であれば、直接賠償請求することはできません。
上記、覚えておいて下さい。過去に出題されたケースがいくつもあります。
◆ 知的財産権を侵害されたときは
著作権と工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)を総称して、知的財産権といいます。
権利の種類によって適用法は若干異なってきますが、いずれの場合でも、権利を侵害された被害者は、加害者に対して、刑事上および民事上の責任を追及できます。
例えば、登記した店の商号を無断で使われた場合、民事上は商号の使用差し止めと損害賠償を請求して、また処罰を望むなら警察や検察に告訴すればいいのです。
◆ 交通事故で刑事責任を問われるときは
人身事故を起こし、その程度が重大だと、加害者運転手は刑事上の責任を問われます(刑法211条、業務上過失致死傷罪)。
一般的に、被害者の怪我が軽く、飲酒運転やひき逃げといった悪質な法令違反もなく、そして示談も成立していると、不起訴処分が多いです。
しかし、起訴され、しかも正式裁判を請求された場合は、まず罰金刑ではすみません。
飲酒運転などの悪質な死亡事故は、とくに重罰が科されます。
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
2 自動車を運転して前項前段の罪を犯した者は、傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
◆ 交通事故で損害賠償を請求されたときは
事故を起こした加害者は、人身事故にしろ物損事故にしろ、不法行為に基づく損害賠償責任を負います(民法709条)
なお、人身事故は加害車の運転手だけでなく、車の所有者や業務中の事故なら雇い主なども、運行供用者として賠償責任を負うことになります。
しかも、無過失責任です(自動車損害賠償保障法3条)。
なお、被害者側に過失がある場合、その割合に応じて損害額は過失相殺され、減額されます。
第709条 (不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。
ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
◆ 交通事故で保険会社が交渉にきたときは
加害車両が任意保険に加入している場合、示談代行付きの商品がポピュラーなので、示談交渉には、保険会社の社員が出てくることも多いです。
「加害者自ら来い」と感情的になる被害者もいますが、冷静に交渉ができるので、むしろ示談がまとまりやすいメリットもあります。
ただ、相手は交渉のプロなので、示談額が低すぎると感じた場合、日弁連交通事故相談センターなどで相談を受けてから、良く吟味して、はんこを押すことが大切です。
◆ 交通事故を起こした車が無保険車のときは
相手方が無保険車であっても、加害者運転手や運行供用者に資力があれば、加害者側に直接賠償請求すればよいことになります。
相手方に資力がない場合は、人身事故なら政府保障事業から給付を受けることがて゜きます。
給付額は自賠責保険と同額で、死亡3.000万円、傷害120万円が支払限度額となります。
なお、被害者側が任意保険をかけている場合、その保険内容によっては、被害を保険金でカバーしてくれる商品もあります。
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