・ 国と地方公共団体の関係 1
自治事務と第1号法定受託事務・第2号法定受託事務の意味の違いをあきらかにしよう。
[ 要点 ]
◆従来、地方公共団体の機関は国の事務と団体事務とを処理していたが、前者は、機関委任事務といい、後者には、公共事務、団体委任事務、行政事務の区別があった。地方自治法の改正により、地方公共団体は、法定受託事務と自治事務とを処理することとされている。
◆前回の地方自治法の改正により、地方公共団体は、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うこととなった。
◆法定受託事務は、法令の定めるところにより、国の事務の一部を都道府県が処理することとされた事務と、法令の定めるところにより、都道府県の事務の一部を市町村が処理することとされた事務との2つからなる。
●地方公共団体の事務
平成12年4月1日以降
(新地方自治法)
自治事務 2条8項
法定受託事務以外
法定受託事務 (2条9項)
この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。
1、法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第1号法定受託事務」という。)
2、法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであって、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第2号法定受託事務」という。)
1、第1号法定受託事務
国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適性な処理を特に確保する必要があるもののとして法律又はこれに基づく制令に定めるもの(例: 戸籍に関する事務など)
2、第2号法定受託事務
都道府県が本来果たすべき役割に係るものであって、都道府県においてその適性な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく制令に特に定めるもの(例 : 都道府県議会議員の選挙に関する事務)
(1) 地方自治の意味
憲法92条は、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定めるとしている。
これを受けて、地方自治法は、地方自治の本旨に基づいて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的として制定された。 地方自治法1条
この地方自治の本旨(住民自治と団体自治)が本当に実現されるためには、特に国と地方公共団体の役割分担がなされなければならないということで、以下の規定がさらになされています。
2、国と地方公共団体の役割分担
地方自治の本旨を中央集権型の行政システムを打破しなければならないということで、国は国が本来果たすべき役割を担い、住民に身近な行政については、できうる限り地方公共団体に委ねましょうという点と地方公共団体に関する制度やその実施にあたっては、その自主性が発揮できるようにすべきであるという点について条文で明確化した。
地域における行政
→ 地方公共団体の役割 地方自治法1条の2第1項
・ 国際社会における国家の存立に関わる事務。
・ 全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動に関する事務
・ 地歩自治に関する基本的にのっとるべき規則に関する事務。
・ 全国的規模、視点で行わなければならない施政や事業
→ 国の役割
(地方自治法第1条の2代2項)
3、地方公共団体の事務
前記の役割分担を具体的に実現するためには、まず、地方公共団体の独自の事務なのか、国が本来すべき事務だが、それを地方公共団体が代わって行う事務なのかしっかりと分類をしなければならない。これが自治事務と法定受託事務の事務の区分である。
(1) 法定受託事務
法定受託事務は、さらに2つに分類されます。
・ 第1号法定受託事務
国の事務で、それを都道府県・市町村・特別区に委託して処理してもらう事務のことである。例えば、戸籍に関する事務などがこれに該当する。
・ 第2号法定受託事務
都道府県の事務を市町村・特別区に委託して処理してもらう事務のことである。
例えば、都道府県議会議員の選挙に関する事務などがこれに該当する。
この法定受託事務は、法律に基づくものは地方自治法の別表に、政令に基づくものは地方自治法施行令の別表にそれぞれ限定して規定してある。
(2) 自治事務
自治事務とは、「地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう」とされており、多種多様な地方公共団体の事務を広くとらえるためにこのような定義づけとなっている。
国と地方公共団体の関係 2
[ 要点 ]
◆関与の類型のうち、原則として、地方自治法を直接の根拠として、是正の要求は自治事務に対して、是正の指示は法定受託事務に対して行うことができる。
◆関与の類型のうち、原則として、地方自治法を直接の根拠として、代執行を行えるのは、法定受託事務だけである。
1、関与の意義
関与とは、国又は都道府県が公共団体に対してある行為を行ったり、協議したりすることである。
地歩公共団体は、「普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。」と規定し、関与は、法律又はこれに基づく政令の根拠を要するとし、さらに関与は、その目的を達成するために必要な最小限度のものとするとともに、普通地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しなければならないなどの基本原則を規定している。
また、この関与が公正・透明になるように、書面の交付、許認可等の審査基準、標準処理期間の設定や公表などを定めている。
2、関与の類型
関与についての原則が固まると、次はその類型化である。個別的・具体的な関与を含めると、9類型が地方自治法245条に規定されている。
助言・勧告、資料の提出の要求、是正の要求、同意、許可、認可・承認、指示、代執行、協議、その他一定の行政目的を実現するため、普通地方公共団体に対して具体的かつ個別的に関わる行為(相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的としてされる裁定その他の行為(その双方を名あて人とするものに限る)及び審査請求、異議申し立てその他の不服申し立てに対する裁決、決定その他の行為を除く)となっている。
上記の9つの関与は、個別の法令の規定に基づいて行うこととあるが、地方自治法を根拠として行うことができる関与は、次の5つに限られる。
(1) 技術的な助言・勧告、資料の提供の要求
事務の運営その他の事項について適切と認める(主観的な意思の入らない)技術的な助言や勧告をしたり、事務の適正な処理に関する情報を提供するため必要な資料の提出を求めることができるというものである。
なお、助言・勧告、使用の提出の要求を書面によらないで行った場合は、書面の交付を求められた場合には、その書面を交付しなければならない。
また、当該助言などに従わなかったことを理由に不利益的扱いをしてはならない。
(2) 是正の要求
各大臣は、担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反している等の場合は、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反是正等の要求ができるというものである。
(3) 是正の勧告
一定の執行機関は、自治事務の処理が法令の規定に違反している等の場合は、市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な処置を講ずべきことを勧告することができるというものである。
(4) 是正の指示
各大臣は、法定受託事務の処理が法令の規定に違反している等の場合は、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正等の必要な指示をすることができるというものである。
(5) 代執行
各大臣は、都道府県知事の法定受託事務の管理もしくは執行が法令の規定もしくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理もしくは執行を怠るものがある場合において、上記の(1)〜(4)などに規定する処置以外の方法によりその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することがあきらかであるときには、文章により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理もしくは執行を改めるべきことを勧告することができるというものである。
上記のうち、自治事務への関与の基本類型は(1)〜(3)の3つ。法定受託事務への関与の基本類型は(1)、(4)、(5)の3つである。
国と地方公共団体の関係 3
[ 要点 ]
◆国地方係争処理委員会の委員の任命は総務大臣が行うが、自治紛争処理委員の任命は総務大臣又は都道府県知事が行う。
◆国地方係争処理委員の委員の数は5人だが、自治紛争処理委員会の委員の数は3人である。
◆国地方係争処理委員会は国と普通地方公共団体間の係争の審査を行い、自治紛争処理委員会は都道府県の市町村に対する関与の審査などを行う。
1、国と普通地方公共団体間の紛争処理
国地方係争処理委員会による審査手続きなどをおこなう。
(1) 国地方係争処理委員会の組織
国地方係争処理委員会は、総務省に置かれ、公正、中立かつ迅速処理という観点から、原則として、非常勤の5人の委員を置くこととなっており、委員は、優れた見識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総務大臣が任命し、任期は3年である。
(2) 審査手続き
普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する国の関与のうち、1、是正の要求や許可の拒否といった公権力の行使に当たるものに対する不服、2、国の不作為に対する不服、3、法令に基づく協議が調わない場合に、委員会に対して、当該国の関与を行った国の行政庁を相手方として、文書で、審査の申し出をすることができる。
審査の申し出は、当該国の関与があった日から30日以内にしなければならない。ただし、天災その他の事項によって審査の申し出をしなかったことについて、やむを得ない理由があるときは、この限りではないが、その理由がやんだ日から1週間以内に審査の申し出をしなければならない。
委員会は、上記の1については、自治事務であれば違法又は不当であるか、法定受託事務であれば違法であるかという点から審査を行い、違法(不当)と認めるときは、国の行政庁に対して必要な処置を講ずるべきことを勧告するとともに、その内容を審査申立人に通知し、公表する。逆に違法(不当)でないと認めるときは、理由を付してその旨を審査申立人及び国の行政庁に通知し、公表する。
2については、審査の申し出に理由があるかどうか、という点から審査ほ行い、理由ありと認める場合には、国の行政庁に必要な処置を講ずべきことを勧告するとともに、その内容を審査申立人に通知し、公表する。逆に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を審査申立人及び国の行政庁に通知し、公表する。
3については、協議に係る普通地方公共団体がその義務を果たしているかどうかという点から審査を行い、理由を付してその結果を審査申立人及び国の行政庁に通知し、公表する。
尚、上記の審査及び勧告は、審査の申し出があった日から90日以内に行わなくてはならない。
この委員会の勧告があったときは、勧告を受けた国の行政庁は、その勧告に示された期間内に、その勧告に即して必要な処置を講ずるとともに、その旨を委員会に通知しなければならない。
また委員会は、国の関与に関する審査の申し出があった場合において、相当であると認めるときは、職権により、調停案を作成して、これを当該国の関与に関する審査の申し出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び相手方である国の行政庁に示し、その受諾を勧告するとともに、理由を付してその要旨を公表することができる。
(3) 訴えの提起
審査の申し出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関は、上記の方法によっても解決されない一定の場合には、高等裁判所に対し、当該審査の申し出の相手方となった国の行政庁を被告として、訴えをもって当該審査の申し出に係る違法な国の関与の取り消し又は当該審査の申し出に係る国の不作為の違法の確認を求めることができる。
2、都道府県と市町村間の紛争
自治紛争処理委員による審査手続きなどを行う。
審査の手続きについては、国と普通地方公共団体間のものとほぼ同様となっている。
なを、自治紛争処理委員は、上記の他にも普通地方公共団体間の紛争の調停などもおこなう。 |
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