会期、議員
[ 要点 ]
◆常会は、一年に一回だけ召集される。
◆臨時会の召集は、まず第一に内閣の判断で決定され、第二に各議員の総議員の4分の1以上の要求がある場合には、内閣は召集を決定しなければならない。
◆特別会は、衆議院が解散され、総選挙が行われた場合のみ召集される。
◆緊急集会は、衆議院が解散された場合にのみ、内閣が要求することができる。
●国会の会期
・常会 52条 : 毎年一回
・臨時会 53条 : 内閣が臨時の必要があるとき、いつでも可能。
いづれかの議員の総議員(×出席議員)の4分の1以
上の要求 → 必ず。
・特別会 54条1項 : 衆議院解散の日から40日以内に総選挙 →
その選挙の日から30日以内に召集する。
・参議院の緊急集会 54条2項 : 国会ではない。
衆議院解散中に国政上の緊急の問
題が起きたとき。
内閣だけが召集。
●議員の特権
・歳費を受ける権利 49条
法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。ただし、減額されないという規定はない。
・不逮捕特権 50条
原則として国会の会期中は逮捕されない。
会期前に逮捕された議員は、議員の要求により会期中釈放される。
例外的に法律の定める場合、会期中でも逮捕される。
院外における現行犯逮捕または院の許諾があれば、会期中でも逮捕できる。
・免責特権 51条
議院でおこなった演説、討議または表決について院外で責任を問われない。
■ 国会 1
1、国会の会期の種類
国会は、一定の限られた期間だけを活動しており、この期間を「会期」という。
・会期には、常会、臨時会、特別会の3種類がある。尚、緊急集会は国会の会期に含まれないので注意。
・常会
毎年一回、定期的に召集される国会のこと。52条。
一般的に通常国会と呼ばれるもの。
・臨時会
常会の他に、国会が必要とされる場合に召集される国会。53条。
内閣は必要とあれば、いつでも臨時会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求がある場合には、内閣は召集を決定しなければならない。
・特別会
衆議院が解散された場合に、その総選挙後に召集される国会のこと。衆議院の解散による総選挙は、解散の日から40日以内に行い、その選挙の日から30日以内に、国会を召集しなければならない。
2、参議院の緊急集会
衆議院が解散され、特別会が召集されるまでの間、国政上の緊急の問題が生じた場合にとられる処置のこと。
・集会手続き
内閣だけが求めることができる。
・緊急集会で採られた処置の効力
次の国会(特別会)の開会後10日以内に衆議院の同意がない場合には、将来に向かってのみその効力を失う。過去に遡らない。 54条3項。
3、会議
・定足数、表決数
両議員は、各々その総議員の3分の1以上の出席がないと、議事を開き決議することができない。
議事は原則として出席議員の過半数でこれを決し、賛成反対同数の場合には、議長が決することとなる。
・会議の公開
出席議員の3分の2以上の多数で議決した場合には、秘密会を開くことができる。
4、議院の特権
・不逮捕特権
院外の現行犯逮捕、その属する議院の許諾のある場合をのぞく。
・免責特権
院外で責任をとられない。
・歳費を受ける権利
法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費(給料)を受ける。
■ 国会 2
衆議院の優劣、国会、議院の機能
[ 要点 ]
◆衆議院の先議権は、予算に関してだけ認められている。
◆法律案について衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした場合には、衆議院は両議院の協議会を開くことを求めることができる。
◆予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合において、両議員の協議会を開いても違憲が一致しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる。
◆国政調査権は、補助的権能として付与されたものであるから、各議院は独自にその権能を行使できる。
●衆議院の優越
・法律案
先議権はなし。
参議院が異なった議決をした場合、
→ 法律案を受け取って60日以内に議決しない
→ 否決とみなすことができる。
再可決で法律となる。出席議員の3分の2以上。
両院協議会は任意。
・予算
先議権あり。
・条約
なし。
・内閣総理大臣の指名
なし。
↑ 30日以内(内閣総理大臣は10日以内)に議決をしない
→ 衆議院の議決が国会の議決しなる。
必ず両院協議会
●国会の権能
・法律案の議決 59条
・予算の議決 60条
・条約の承認 61条
・内閣総理大臣の指名 67条
・憲法改正の発議 96条
・財政の監督 83条
・弾劾裁判所の設置 64条
●国会の権能と手続きの流れ
予算 → 内閣が作成 → 国会が議決。
条約 → 内閣が締結 → 国会が承認 → 天皇が公布。
弾劾裁判所 → 国会が設置 → 弾劾裁判所で罷免する。
内閣総理大臣 → 国会が指名 → 天皇が任命。
憲法改正 → 国会が発議 → 国民投票で承認 → 天皇が公布
■ 国会
1、衆議院の優劣
・法律案の議決
法律案は、原則として両議院で可決したときに法律となる。しかし、衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、出席議員の3分の2以上の多数で再び可決した場合に法律となる。
59条1項、2項
→ 両議院の意見が対立する場合
両議院の協議会を開くように求めることができる。ただし、任意である。
59条3項
59条4項
・予算の議決と条約の承認
国民の意思をより直接代表する衆議院にまず先に提出しなければならない。60条1項
そして、衆議院と参議院とが異なった議決をした場合には、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、また、参議院が衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間をのぞいて30日以内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる。
60条2項
61条
・内閣総理大臣の指名
国会議員の中から国会の議決で指名。 67条1項、2項
2、国会の機能
・法律案の議決、・予算の議決、・条約の承認、・憲法改正の発議、・財政の監督、・内閣総理大臣の指名、・弾劾裁判所の設置、などがある。
3、議員の機能
各議院共通の機能
・議員の逮捕の許諾、釈放要求、・議員の資格争訟の裁判、・役員の選任
・議院規則の制定、・議員の懲罰、・国務大臣の出席要求、・秘密会の開催
・請願の受理、・国政調査権 などがある。
衆議院のみに認められる権能
・法律案の単独議決、・予算の先議権、・内閣の信任、不信任決議、・参議院の緊急措置に対する同意
参議院のみに認められる権能として、
・参議院の緊急集会の場合の措置がある。
■ 内閣
[ 要点 ]
◆国務大臣の過半数が国会議員であることは、内閣の成立用件であるとともに存続用件でもある。
◆内閣が国会に対して負う連帯責任は、法的責任ではなく政治的責任である。
◆条約を締結することは、内閣の権能であり内閣総理大臣の権能ではない。
◆内閣が国会に対して負う連帯責任は、個々の国務大臣の単独責任を否定するものではない。
●内閣の権能
1、法律の誠実執行と国務の総理 73条1項
2、予算の作成・提出 73条5項
3、外交関係の処理 73条2項
4、官史に関する実務の掌理 73条4項
5、条約の締結 73条3項
6、政令の制定 73条6項
7、恩赦の決定 73条7項
8、天皇の国事行為への助言・承認 7条
9、臨時会の召集、緊急集会を求める、衆議院の解散決定 53条、54条2項 69条
10、最高裁判所の長たる裁判官の指名及びそれ以外の裁判官の任命 6条2項、79条1項、80条1項
11、予備費の支出、決算の国会への提出、国会及び国民への財政状況の報告
87,90,91条
■ 内閣
1、内閣の組織・総辞職
(1)内閣の組織
・ 内閣は、法律の定めるところにより、首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣で組織される。
・ 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会で指名し、天皇が任命する。
・ その他の国務大臣は、内閣総理大臣が任命し、天皇が認証するが、その過半数は、国会議員の中から選ばなければならない。
(2)総辞職
・ 内閣は、衆議院で内閣不信任の決議案が可決され、又は信任の決議案が否決されたときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職しなければならない。
・ 内閣総理大臣が欠けたとき、(死亡したり、国会議員でなくなった場合)。
・ 衆議院議員総選挙の後にはじめて国会の召集があったとき、総辞職しなければならない。(衆議院の解散や任期満了による総選挙があった場合。)
・ ただし、内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまでは、引き続きその職務を行う。
2、内閣の権能
65条は、行政権は、内閣に属すると規定し、内閣は、原則としていっさいの行政事務を行う権限を持っている。
3、内閣の責任
(1)内閣は、行政権の行使について、国会に連帯して責任を負う。これは、議員内閣制を採っていることに基づく。
(2)天皇の国事行為に関する全ての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負う。
4、内閣総理大臣、国務大臣の権能
(1)内閣総理大臣の権能
・ 国務大臣の任免(国務大臣を任命し、任意に罷免することができる)
・ 内閣を代表して議案を国会に提出すること。
・ 内閣を代表して一般国務及び外交関係について国会に報告すること。
・ 内閣を代表して行政各部(府・省・委員会・庁などの国家行政組織)を指揮監督すること。
・ 法律、政令への連署(法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。)
・ 国務大臣の訴追に対する同意権(国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない。)ただし、これによって、訴追の権利は、害されない。(公訴の時効は進行しない。)
・ 両議院に出席、発言すること。
(2)国務大臣の権能
・ 主任大臣として、法律、政令に署名すること。
・ 両議院に出席、発言すること。
■ 裁判所(司法権の範囲)
[ 要点 ]
◆裁判所の審判の対象となりうるものは、法律上の争訟に限られ、単なる政治的、経済的問題は除かれる。
◆きわめて政治性の高い国家統治行為は、司法審査の対象外である。
◆裁判所は、具体的訴訟と関係なく、抽象的に法令の違憲審査をすることはできない。
◆両議院の制定する規則も最高裁判所のむ制定する規則も違憲審査の対象に含まれる。
●司法権の対象となるもの、対象とならないもの。
対象となるもの
・地方議会議員に対する除名処分
議員の身分喪失に関する重大事項であり、内部規律の問題にとどまらないため司法審査が及ぶ。
・政党の除名処分
内部的な問題にとどまる限り審判権は及ばないが、除名処分は、その政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反しない限り当該規範に照らし適正な手続きにそってなされたか否かによって決すべきであり、審理もその点に限られる。
・国公立大学の専攻科の終了認定を与えないことについて専攻科終了の認定をしないことは、実質的に一般市民としての学生の国公立大学の利用を拒否することになる。
対象とならないもの
・地方議会議員に対する議会出席停止処分
内部規律の問題として、自治的処置に任せる(部分社会の法理)。
・国公立大学の単位認定行為大学内部の問題として、大学の自主的、自立的判断に委ねられるべき(部
分社会の法理)。
・ご本尊が偽物であることを知らずに行った寄附の返還。ご本尊が偽物であるかどうかの判断には、宗教上の価値や教義に関する判断が必要であって、法令の適用による終局的解決は不可能。
(板まんだら事件)
■ 裁判所(司法権の範囲)
1、特別裁判所の禁止
76条1項は、すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより、設置する下級裁判所に属すると規定し、さらに、特別裁判所の設置を禁止し、行政機関が、終審として裁判を行うことができないこととしている。
2、司法権の限界
(1)憲法に規定がないもの
・ 両議院の議員の資格争訟裁判 55条
・ 弾劾裁判所による裁判官の弾劾裁判 64条
(2)国会又は各議院の内部事項
・ 除名等議員の懲罰に関する議院の判断
・ 議院における議事手続き
・ 行政上、立法上の裁量が認められる範囲のもの
3、統治行為
統治行為とは、国家統治の基本に関する極めて高度の政治性を有する行為については、裁判所の司法審査の対象とならないようにするとする考え方をいう。
◆ 判例 ◆
・日米安保条約の内容が違憲であるか否かについて、「安保条約は高度の政治性を有し、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限り、司法裁判所の審査には、原則としてなじまない性質のものである。」としている。砂川事件 最大判昭和34年12月16日
・衆議院の解散が司法審査の対象になるかについて、「司法権に対する制約は、三権分立の原理に由来し、当該国家行為の高度の政治性、裁判所の司法機関としての性格、裁判所に必然的に随伴する手続き上の制約からすれば、司法権の憲法上の本質に内在する制約と理解するべきである。」として司法審査の対象にはならないとしている。
苫米池判決 最大判昭和35年6月8日
4、部分社会の法理
例えば、地方議会、大学、政党のように一般市民社会とは異なる限定された社会(部分社会)における紛争には、司法権が及ばないという考え方。
5、国際法上の例外
国際法により外国大使に対する治外法権が認められている場合や条約によって特別に裁判権が制限されている場合も司法審査の例外となる。
■ 裁判所(組織)
[ 要点 ]
◆裁判所は、最高裁判所と下級裁判所に分けることができるが、法律により、下級裁判所を地方裁判所のみとしても、憲法に違反しない。
◆弾劾裁判所は憲法上下級裁判所には含まれない。
◆最高裁判所裁判官も弾劾裁判により罷免される場合もありうる。
◆最高裁判所により委任された場合は、下級裁判所も自らに関する規則を制定することができる。
●裁判所の組織
(終審)最高裁判所
↓
下級裁判所
・高等裁判所
・地方裁判所
・家庭裁判所
・簡易裁判所
●最高裁判所と下級裁判所の比較
最高裁判所
公の弾劾 あり
権能 ・一般裁判権 ・違憲立法審査権 ・規則制定権(最高裁+下級裁判所裁判官の指名権)
裁判官の指名 長 → 内閣が指名、天皇が任命
長以外 → 内閣が任命、天皇が承認
任期 任期なし、定年あり
下級裁判所
公の弾劾 あり
権能 ・一般裁判権 ・違憲立法審査権 ・規則制定権(最高裁+下級裁判所裁判官の指名権)
裁判官の指名 最高裁が指名、内閣が任命
任期、定年 任期10年、定年あり、国民審査なし
●裁判の公開
裁判は、その公正を保持し、裁判に対する国民の信頼を得る趣旨で、裁判の対審及び判決は、公開法定で行うと規定している。
ただし、裁判官の全員一致、かつ、公の秩序又は善良の風俗を害する恐れのある場合には、対審の公開停止をすることも可能である。
さらにその例外として、政治犯、出版に関する犯罪、憲法3章で保障する国民の権利が問題になっている事件については、絶対に対審を公開しなければならないとしている。
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